マクルウが素形材産業技術賞の奨励賞を受賞 東大とのマグネシウム合金細管加工技術で
株式会社マクルウは、一般財団法人素形材センターが主催する令和8年度 第42回素形材産業技術賞において奨励賞を受賞しました。受賞対象となったのは、東京大学生産技術研究所の古島 剛研究室との共同研究によって開発した「ダイレス引抜きと冷間引抜きの一貫加工によるマグネシウム合金細管の革新的加工技術」です。表彰式は本日執り行われました。
マグネシウム合金は比強度が高く、生分解性と生体安全性に優れるため生分解性医療機器の素材として注目されています。しかし、血管内で使われるステントに必要な外形3mm以下の精密細管を製造するにあたり、マグネシウム合金は塑性加工が困難で冷間引抜きの可能減面率が他金属に比べて著しく低いことから、安定的かつ経済的な供給が技術的な課題となっていました。
マクルウと東京大学生産技術研究所(所長:年吉 洋)の変形加工学を専門とする古島 剛研究室は、ダイレス引抜き加工と冷間引抜き加工を組み合わせた一貫加工プロセスを開発し、この課題を解決しました。材料を急加熱して引き抜き大きな減面率で断面を縮小するダイレス引抜き加工の大減面性と、冷間引抜き加工が持つ寸法精度や表面精度を相補的に組み合わせています。汎用押出し加工設備で製作した母材から、ダイレス引抜き加工で一気に小径化・薄肉化した後、冷間引抜き加工によって寸法精度と表面精度を仕上げます。

この技術開発は、古島研究室の研究成果および技術的ノウハウとマクルウの冷間引抜き加工技術をもとに、令和4~5年度 静岡県医療機器産業基盤強化推進事業助成金を活用して行われました。
工程数を約3分の1に集約し環境負荷を低減
冷間引抜き単独を想定した従来技術と比較して、本技術には以下のような特色があります。
- 工程数:約1/3に集約(67%削減)
- 加工エネルギー・CO₂排出:約67%削減(工程数にほぼ比例)
- 設備投資:特殊設備への新規投資を要さず、既存の汎用押出し設備を活用
医療機器素材への実用化と今後の事業展開
加工されたマグネシウム合金細管は、台湾のSG biomedical Co., Ltd.(董事長:呉建興)が国立台湾大学病院(NTUH)と共同開発を進めるシャント造設術(AVF)用生分解性ステントの素材として、オーダ化成株式会社(代表取締役社長:積山修也)を通じて評価用に継続供給されています。SG biomedicalは現在50%の手術成功率を70%以上に引き上げることを目標に動物実験を進めており、今後は臨床試験も計画されています。
マクルウは今後、SG biomedicalのステント開発へ寄与するとともに、培った引抜き加工技術を棒材やワイヤー材へ応用し、骨接合材や整形外科インプラントなど多様な生分解性医療機器への素材供給を目標とした事業を推進していく方針です。
受賞概要


- 賞名:令和8年度 第42回素形材産業技術賞 奨励賞
- 主催団体:一般財団法人素形材センター
- 受賞技術:ダイレス引抜きと冷間引抜きの一貫加工によるマグネシウム合金細管の革新的加工技術
- 受賞者:株式会社マクルウ
- 共同開発:東京大学生産技術研究所 古島 剛研究室
素形材産業技術賞は、一般財団法人素形材センターが素形材産業の技術開発振興を目的に毎年実施している表彰制度で、素形材分野の優れた技術開発成果を表彰するものです。奨励賞は、将来性が期待される優れた技術開発に贈られます。
本記事は株式会社マクルウの発表をもとに作成しました。
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