ジェイテクト、部品ピッキングでフィジカルAI実証 成功率97.1%を達成
愛知県刈谷市に本社を置き、取締役社長を近藤禎人が務める株式会社ジェイテクトは、田戸岬工場で進めていたフィジカルAIの実証を2026年8月31日に終了した。Upstage AI株式会社およびカラクリ株式会社と共同で実施したこの実証では、自動車部品のランダムピッキング工程においてピッキング成功率97.1%を達成し、既存制御から12.1ポイント向上させた。さらに平均サイクルタイムについても16%の短縮を実現している。
CVJ生産ラインにおける実証実験の概要
製造業を取り巻く環境では、多品種生産への対応や人手不足、熟練技能者の高齢化、技能伝承などの課題が深刻化している。こうした課題の解決に向けた取り組みの一環として、株式会社ジェイテクトは2026年3月よりUpstage AI株式会社およびカラクリ株式会社との共創活動として「フィジカルAI開発支援プログラム by AWSジャパン」に参画し、生産現場へのフィジカルAI実装可能性を検証してきた。

実証実験の概要は以下の通りである。
- 実施期間:2026年3月19日~2026年8月31日
- 対象工程:田戸岬工場 CVJ生産ラインにおけるランダムピッキング工程
- 実証内容:①仮想空間で学習したフィジカルAIをロボットへ実装し、実環境における動作を検証 ②ピッキング成功率およびサイクルタイムを評価し、有効性を検証 ③既存設備への適用可能性および導入負荷低減効果を検証
既存設備と比較した成果とAIの特徴
対象となったランダムピッキング工程は、ワークの位置や姿勢が一定でなく、既存の制御では環境変化への対応に限界があり生産性向上が課題となっていた。今回の実証では、AIがカメラ画像からワークの位置や状態を認識し、最適な把持位置や搬送動作を自律的に判断する仕組みを構築した。
ピッキング性能の差が表れやすい高難度条件での評価結果において、従来制御で85.0%だったピッキング成功率は97.1%となり、12.1ポイント向上した。平均サイクルタイムは従来比84.0%となり、16%短縮を達成している。また、既存設備へAI用PCを追加するのみで導入を実現しており、大規模な設備改造を伴わずに効果を創出できることを確認したとしている。
開発されたフィジカルAIの特徴は以下の通りである。
- 仮想空間で学習したAIをロボットに適用することで、環境に応じて自律的に動作
- 高速な位置検出AIと高精度な形状認識AIを組み合わせることで、認識精度と処理速度を両立

株式会社ジェイテクトは、第二期中期経営計画における成長戦略・重点施策として「デジタルモノづくり」を掲げている。専門部署であるデータアナリティクス研究部で学ぶ社内留学制度や、全社員参加型のデジタルリテラシー向上活動であるデジタル祭りを通じた人財育成を推進するとともに、AI活用プラットフォームやAIエージェントなどの基盤構築を進めてきた。
今後は田戸岬工場における実証成果を起点とし、すでに自動化が進んでいる工程で成功率向上や人の介入ゼロ化を目指す「既存設備×フィジカルAI」と、熟練技能に依存する工程で技能の継承・形式知化を進める「熟練技能×フィジカルAI」の両面から取り組みを推進するとしている。

本記事は株式会社ジェイテクトの発表をもとに作成。
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