岡山大学、体内時計のズレが生存競争に不利に働くとショウジョウバエで実証
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科などの研究グループは、体内時計のリズムが狂ったキイロショウジョウバエが、正常なハエとの生存競争において世代交代の過程で徐々に姿を消していくことを突き止めました。1日のリズムが地球の約24時間からズレることが生存において不利になることを実験で厳密に証明した成果です。研究成果は2026年8月10日付でアメリカの科学誌「iScience」に掲載され、2026年9月15日に開催された同大学の定例記者会見で公開されました。
10万匹以上を対象に27世代にわたり追跡
研究グループは、遺伝子操作を用いて脳の体内時計の神経の遺伝子を変え、1日のリズムが「約18時間」と「約27時間」になったキイロショウジョウバエを作製しました。


このリズムが異常なハエと正常なハエを同じ環境で一緒に飼育し、1年間・27世代にわたって10万匹以上のハエの生き残り競争を追跡調査しました。その結果、地球の自転と同じ「約24時間」の正しいリズムを持つハエが生存競争で圧倒的に有利であり、リズムがズレてしまったハエは世代交代を繰り返すなかで徐々に姿を消していくことが判明しました。
体内時計が生き残りに果たす役割を解明
人間をはじめとする多くの動物は、脳内に睡眠や覚醒のリズムをコントロールする体内時計の司令塔を持っています。しかし、約24時間のリズムが個体の生存にとって本当に重要であるかどうかは、これまで実験で十分に証明されていませんでした。
本研究は、岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の相川紗英大学院生、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理学部生物学科)の吉井大志教授(時間生物学)、三村真紀子教授(生態学)らによって実施されました。研究に携わった相川大学院生は「当時は想像もしていませんでしたが、その執念が体内時計の重要性を明らかにする大発見へとつながりました」と振り返っています。


人間の生活リズムと社会環境のミスマッチへの示唆
人間の体内時計にも朝型や夜型といった個体差が存在します。研究グループは、自身の体内時計のリズムと学校や仕事といった社会的な時間がズレるミスマッチが、人間の身体や生活に目に見えない悪影響を及ぼしている可能性を示唆しているとしています。
なお、本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤C・ 24K09534, 研究代表:吉井大志)の支援を受けて行われました。
論文情報
- 論文名:Brain circadian clock neurons drive fitness advantages in Drosophila
- 掲載誌:iScience
- 著者:相川紗英、田村彰一郎、三村真紀子、吉井大志
- DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.117125
本記事は国立大学法人岡山大学の発表をもとに作成しました。



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