ライノフラックス、下水汚泥から発電とCO2回収を行うパイロット機実証を26年開始へ
京都大学発のスタートアップであるライノフラックス株式会社は、東京都が実施する「SusHi Tech Global 資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム」に採択されました。同社は2026年11月から2028年4月までの18か月間、国内の大規模下水処理場において、湿式ケミカルルーピング技術を用いたパイロット機による現地実証を実施します。実証は、処理場を所管する自治体および国内の水処理プラントメーカーと協同で進められます。

水分を多く含む下水汚泥の活用と減容化が課題
国交省の調べによると、国内では年間約234万トンの下水汚泥が発生しています(絶乾トン)。リサイクル率は約76%に達しているものの、その半分は建設資材としての利用であり、エネルギーとしての利用は約1割にとどまり、約2割は依然として埋立等に回されています。埋立処分場の確保が難しくなるなか、汚泥の減容化は全国の処理場に共通する課題となっています。
また、下水道分野の温室効果ガス排出量は年間約338万t-CO2(2022年度実績、国交省調べ)にのぼり、自治体の事務事業から排出される温室効果ガスの大部分を占めています。従来のエネルギー利用は焼却による熱回収や発酵によるガス化が中心でしたが、汚泥が多く含む水分に起因する乾燥や前処理のエネルギー損失と採算性が制約となっていました。
燃焼を介さず高効率発電と純度99.9%以上のCO2回収を両立
ライノフラックスが開発する「ライノハウス」は、水を含んだままのバイオマスから燃焼を介さずに発電と高純度CO2回収を同時に行うプラントです。食品・飲料工場などから発生する残渣や排水汚泥、農業残渣、間伐材、エネルギー作物など幅広いバイオマスに適用可能で、本実証では下水汚泥を対象とします。
本技術には以下の3つの特長があります。
- 高効率発電: 燃焼を介さないため、従来のバイオマス発電方式と比べて約2~4倍の高い発電効率を実現します。
- 高純度CO2の回収: 反応の過程で純度99.9%以上のCO2を分離・回収でき、別途の精製設備を必要としません。液化して産業ガスとして利活用できるほか、貯留を伴う場合はBECCSとしてのカーボンクレジット化も期待されます。
- 省スペース設置: 水分を含んだバイオマスの乾燥スペースが不要なため、設備の小型化が容易です。モジュール構成により小規模から大規模の処理場まで対応し、既存プロセスに接続して運用できます。

本実証では、初沈汚泥、消化汚泥、脱水ケーキ汚泥といった性状の異なる汚泥を用い、累計100日間(2,400時間)の運転を実施します。自治体から実サイトと実汚泥の提供および運用面の検証を、水処理プラントメーカーから接続設計と保守運用の知見を得て、商用機の導入判断に必要な条件を整備する予定です。
下水処理場を分散型の創エネルギー拠点へ転換
下水処理場で年間を通じて安定的に発生する汚泥を活用することで、電力を消費する施設から電力を生み出す施設へと変えることを目指しています。都市の内部で発電できる分散型電源となることで、災害時の機能維持やエネルギー安全保障への貢献も見込まれます。
代表取締役CEOの間澤 敦氏は、公共インフラで使われる技術となるには現場で実装条件を確かめる必要があるとした上で、「足元に眠る未利用資源を地域の電力と炭素価値に変え、下水処理場を“創エネルギー拠点”へと転換してまいります」とコメントしています。同社は今後、し尿処理施設や民間の排水処理・食品工場への展開や海外展開も視野に入れています。
採択プログラムおよび会社概要
東京都の「資源・エネルギー等レジリエンス強化プログラム」は、“SusHi Tech Global Startups”の中から革新的な新技術により資源・エネルギーの構造転換等を目指すプロジェクトを募る取り組みです。最大5件に対して最長18か月のプロジェクト期間中、上限2億円の資金サポートと伴走支援が提供されます。
ライノフラックス株式会社の概要は以下の通りです。
- 商号: ライノフラックス株式会社(英文: Rhinoflux Inc.)
- 代表者: 代表取締役CEO 間澤 敦
- 本社住所: 〒606-8501 京都市左京区吉田本町36-1 京都大学 国際科学イノベーション棟西館104号室
- 研究所: 〒615-8245 京都市西京区御陵大原1-39 京大桂ベンチャープラザ南館2214号室
- 設立日: 2024年4月22日
- 事業内容: バイオエネルギー炭素回収装置及び関連機器の設計・製造・販売・管理・運営
- Website: https://rhinoflux.com/
本記事はライノフラックス株式会社の発表をもとに作成しました。
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