順天堂大、アルツハイマー病に対する老化細胞除去治療の開発を本格開始へ
順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学の南野 徹 主任教授らの研究グループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和8年度「革新的先端研究開発支援事業 インキュベートタイプ(LEAP)」に採択された。これを受け、アルツハイマー病に対する老化細胞除去治療の開発を本格的に開始する。病的な老化細胞を選択的に除去する技術を基盤とし、将来的な臨床応用を目指す。
認知症の主要な原因疾患であるアルツハイマー病では、アミロイドβの蓄積に加え、脳内の免疫環境の変化や慢性的な神経炎症など複数の病態が関与すると考えられている。加齢やストレスによって生じる老化細胞は、炎症を引き起こす物質を分泌して周囲の組織機能を障害することが知られており、脳内に蓄積して病態を進行させる可能性が注目されている。
研究グループは30年以上にわたり細胞老化の研究を進めており、2021年には老化細胞に特徴的に発現する老化抗原を標的とした老化細胞除去ワクチンを開発した。このワクチンによる加齢関連疾患の改善成果は Nature Aging 誌に報告されている。その後の研究で、アルツハイマー病モデルにおいても病態や認知機能を改善する可能性が示されたことから、今回の採択を通じて本格的な研究開発を進めることとなった。
本研究では、アルツハイマー病の脳内に蓄積する病的な老化細胞を治療標的とする。従来の治療法で主要な標的とされてきたアミロイドβやタウを直接狙うのではなく、病的な老化細胞そのものを免疫の力で選択的に除去することで、神経炎症などの悪循環を抑え、病気の進行を抑制する疾患修飾治療の確立を目指す。
研究計画では、病的な老化細胞が認知機能低下などに関与するメカニズムを解析するとともに、ワクチンおよび抗体治療の有効性、安全性、製造性を比較評価し、ヒトへの臨床開発に進める候補を選定する方針である。
採択事業の研究開発概要
- 課題名:老化抗原を標的とした新規免疫療法によるアルツハイマー病の革新的治療戦略の開発
- 代表者:順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学 主任教授 南野 徹
- 実施予定期間:令和8年10月(予定)~令和12年度末(中間評価による選外課題は令和10年度末で終了)
臨床応用および他の加齢関連疾患への展開
今後は、病的な老化細胞を標的とする新たな治療概念の確立を進め、開発した治療法を初めてヒトに投与するFirst-in-Human(FIH)試験への発展を目指す。さらに、病的な老化細胞を選択的に除去する戦略をアルツハイマー病以外の加齢関連疾患へも展開し、老化そのものを標的とした新しい医療の実現へつなげる構想としている。
本記事は順天堂大学の発表をもとに作成。 参考URL:https://www.amed.go.jp/program/list/16/02/001_leap.html
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