岡山大学、マウスとラットで成長ホルモン遺伝子の使い方が異なることを発見
国立大学法人岡山大学の研究グループは、外見や遺伝子がよく似ているマウスとラットにおいて、共通の成長ホルモン遺伝子の使い方が大きく異なることを明らかにした。マウスの免疫組織では機能する成長ホルモンを生成する可能性が高い新たな転写産物が確認された一方、ラットの転写産物は機能するホルモンを作れない構造であることが判明した。本研究は、生物の多様性や成長ホルモンによる免疫制御の進化を理解する手がかりとなる成果とされている。
近縁種における成長ホルモン遺伝子の利用実態

マウスとラットは生命科学研究の現場で実験動物として広く活用されている。岡山大学大学院環境生命自然科学研究科博士後期課程の竹内優羽大学院生と、岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(理学部生物学科)の竹内栄教授らの研究グループは、体の成長や免疫機能に関与する成長ホルモン遺伝子に着目して解析を進めた。
解析の結果、マウスの脾臓や骨髄といった免疫組織において、これまで知られていなかった新しい転写産物が作られていることが分かった。この転写産物からは、機能する成長ホルモンが作られる可能性が高いことが示されている。
一方、ラットにおいても同じ領域から転写産物が作られていたものの、その構造はマウスと異なっており、機能する成長ホルモンは作られない可能性が高いことが判明した。これらの結果から、免疫組織における成長ホルモン遺伝子の働き方には動物種による違いが存在し、近縁な種であっても同一の遺伝子を異なる方法で利用していることが示唆された。
共同第1著者の竹内優羽大学院生は、共通の成長ホルモン遺伝子を持ちながら一部の構造の違いによって機能するホルモンを作れるかどうかが異なる点に触れ、両者が似て非なる動物であると実感したと述べている。また竹内栄教授は、生物は共通の遺伝子でも使い方がさまざまであり、多様性は生物が本来持つ豊かさの表れである旨をコメントしている。


発表および論文の概要
本研究成果は、2026年8月5日に国際学術誌「General and Comparative Endocrinology」のオンライン版に掲載され、2026年9月15日に開催された岡山大学定例記者会見で公開された。なお、本研究は科学研究費補助金(基盤研究C:16570054)の支援を受けて実施された。
- 論文名:Alternative transcription of the mouse Gh gene identifies an immune-associated transcript with species-specific structural divergence
- 掲載誌:General and Comparative Endocrinology
- 著者:Ai Fukushima, Yu Takeuchi, Hibiki Fukuchi, Sakura Egoshi, Hirotaka Sakamoto, Sayaka Aizawa, Sakae Takeuchi(福島愛さんと竹内優羽さんは共同第1著者)
- DOI:10.1016/j.ygcen.2026.114996
- URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016648026001231
本記事は国立大学法人岡山大学の発表をもとに作成。



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