進行卵巣がんへのオラパリブと免疫薬併用の術前療法を検証 国立がん研究センター東病院
国立がん研究センター東病院は、国立病院機構四国がんセンターおよび久留米大学と共同で、HRD(相同組換え修復欠損)陽性の進行卵巣がん患者を対象とした医師主導治験を実施しました。PARP阻害薬オラパリブの単独療法と、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブとの併用療法を術前に評価したものです。基礎研究で期待されていた両薬剤の相乗効果について、実際の患者における治療効果や免疫反応の検証が行われました。
基礎研究で期待された相乗効果を臨床で検証
PARP阻害薬はがん細胞のDNA修復を妨げる働きに加え、がんに対する免疫反応を高める作用が基礎研究で示されており、免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせによって、より高い治療効果が得られる可能性が示唆されていました。一方で、実際の患者のがん組織においても同様の変化が生じるかについては、十分に明らかになっていませんでした。
臨床試験における治療効果と腫瘍検体の解析結果
本臨床試験には、オラパリブ単独療法群10例、併用療法群20例の計30例が登録されました。がんの縮小が確認された割合は単独療法群で50.0%、併用療法群で70.0%となったものの、両群間に明確な差は認められませんでした。
腫瘍検体の解析においては、基礎研究で期待されていたPARP阻害薬単独による明確な免疫活性化は確認されませんでした。併用療法では免疫細胞の増加がみられたものの、治療効果の明確な上乗せは認められなかったとしています。
現行の標準治療と試験結果の評価
現在の標準治療は、手術と抗がん剤治療を行った後に再発防止を目的としてオラパリブなどのPARP阻害薬を使用する維持療法です。今回の臨床試験は30例のパイロット試験であり、この結果のみをもってオラパリブと免疫療法の併用療法を推奨するものではないとされています。基礎研究で期待された相乗効果は実際の患者では明確に確認されず、仕組みや効果を改めて検証する必要性が示されました。
論文情報
本試験に関する研究成果は、学術雑誌に掲載されました。
- 掲載雑誌名:Clinical Cancer Research(2026年10月15日掲載)
- タイトル:Neoadjuvant olaparib and pembrolizumab combination therapy in the treatment of patients with HRD-positive advanced ovarian cancer: A pilot study
- DOI:10.1158/1078-0432.CCR-25-4887
本記事は国立がん研究センター東病院(病院長:土井 俊彦)の発表をもとに作成しました。
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