想研の企業年金調査で5%以上リターンが84.1%に達し円債回帰の動きも
企業年金・機関投資家向け運用情報誌『オルイン』を発行する株式会社想研は、「オルイン 年金プロダクトサーベイ2026」を実施し、結果の一部を公表しました。調査によると、堅調な株式市場を背景に全体の84.1%が5%以上のリターンを記録し、好調な運用実績による潤沢な剰余金への対応などが新たな課題として浮上しています。また、投資戦略においては金利上昇を背景とした円債回帰の動きや、給付改善に向けた取り組みの広がりが示されました。
株式市場が牽引し高水準のリターンを記録
確定給付型企業年金を中心とする国内企業年金基金を対象にした本調査では、中長期で堅調な株式市場が牽引し、5%以上のリターンを記録した企業年金が全体の84.1%に達しました。大半の基金が目標を大きく上回る運用利回りを確保しています。一方で、中東情勢緊迫化に伴う株価下落などの影響もあり、二桁リターンとなった割合は全体の21.4%にとどまり、2024年の前回調査より低下しました。
年金運用上の課題としては、前回に引き続き「金利環境の変化を受けた資産配分の検討」が最多となりました。「予定利率の引き上げ」は31.0%、「剰余金対応」は24.5%と大幅に増加しており、運用実績の好調さに伴う剰余金への対応が重要な課題として位置づけられています。


投資戦略の面では、金利上昇を背景に債券系プロダクトで円債回帰の傾向が見られます。今後の増額予定において「国内債券(アクティブ)」が全資産の中で最大のニーズを集めた一方、為替や信用リスクを伴う海外クレジットや海外債券は、採用率および増額予定の双方が低下傾向にあります。
オルタナティブ系では「マルチアセット運用」の苦戦が続いています。プライベートアセットは全般的に人気を維持しており、インフレ耐性を持つ「インフラコア戦略」の増額予定が高くなっています。「ダイレクトレンディング」や「バイアウト戦略」もニーズは高いものの、増額予定は前回調査時より減少して投資の一巡感が見られました。さらに、昨年好調だった「コモディティ」の採用率が上昇したほか、新規項目の「ABF(アセットベースドファイナンス)」も関心を集めており、分散投資の進行が考えられる状況です。

運用好調を受け給付改善への動きも

運用が好調に推移していることを受けて、従業員などへの還元アクションも進んでいます。「すでに給付改善を実施(または決定)」と回答した基金は14件で約1割に上り、「検討・協議中」の27件を合わせると41件となり、全体の約4分の1が給付改善に向けて動いています。
実施済みまたは検討中の回答者において、給付改善の財源は31件が「運用剰余金」と回答し、約4分の3を占めました。一方、検討していない基金からは「人事制度改訂の優先度が高い」という理由が最も多く挙がったほか、将来の不確実性や制度の硬直性リスクに対する懸念も示されています。

調査および発表元の概要
本調査の概要は以下の通りです。
- 実施主体:機関投資家向け運用情報誌『オルイン』 (発行:株式会社想研)
- 実施時期:2026年8月3日~8月31日
- 調査対象:国内企業年金基金
- 調査方法:WEBアンケート
- 回答数:155件
- 調査詳細URL:https://www.soken-inc.co.jp/survey/%e3%82%aa%e3%83%ab%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%80%80%e5%b9%b4%e9%87%91%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%80%e3%82%af%e3%83%88%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%99%e3%82%a4-2026/
発表元の株式会社想研は、代表取締役を齋藤 順子が務め、東京都中央区日本橋茅場町2-13-11 サンアイ茅場町ビル2階に本社を置く企業です。資本金は4000万円で、アセットマネジメントビジネスを中心としたメディア事業やプロダクション事業などを手掛けています。
本記事は株式会社想研の発表をもとに作成しました。
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