岡山大など、超伝導体K2Cr3As3で複数のトポロジカル超伝導相を発見
国立大学法人岡山大学と国立研究開発法人物質・材料研究機構の共同研究グループは、高温で実現する超伝導体K2Cr3As3において複数のスピン三重項状態が実現することを発見しました。あわせて、磁場や温度によってトポロジカル超伝導状態を制御できることも明らかにしています。本研究成果は、2026年9月22日に公開されました。
一つの物質で複数のトポロジカル超伝導相を確認

岡山大学大学院環境生命自然科学研究科の小川晟吾大学院生と、指導教員である同学術研究院環境生命自然科学学域の鄭国慶教授らの研究グループは、K2Cr3As3において複数のスピン三重項状態が実現し、磁場や温度でトポロジカル超伝導状態を制御できることを発見しました。

K2Cr3As3は、候補も含めたスピン三重項超伝導体の中で最高の超伝導転移温度を示し、唯一ヘリウムの液化温度を上回る物質です。研究グループは、単結晶の育成や核磁気共鳴法による精密物性測定、綿密な検証を重ねて今回の成果を得たとしています。
次世代量子コンピューターへの応用に向けた期待
トポロジカル超伝導体は従来の超伝導体とは異なり、表面や渦糸中心の電子状態を次世代量子コンピューターに応用できるとされています。
一つの物質において複数のトポロジカル相が発見されたことにより、トポロジカル超伝導の基礎的な理解が深まるだけでなく、産業応用に向けた材料基盤を築く成果として注目されています。
米国物理学会速報誌の注目論文に選出


本研究成果は、8月20日に米国物理学会速報誌「Physical Review Letters」に掲載されました。同誌のEditors’ Suggestion(注目論文)に選ばれ、解説記事としても取り上げられています。
発表された論文の詳細は以下の通りです。
- 論文名:Multiple Phases in K2Cr3As3: A Playground for Manipulating Topological Superconductivity
- 掲載誌:Physical Review Letters
- 著者:小川晟吾、三好智己、内田早紀、俣野和明、川崎慎司、稲田佳彦、鄭国慶
- DOI:https://doi.org/10.1103/kykd-2nj4
なお、本研究は科研費(No. 19H00657, No. 22H04482, No. 26K07015)および岡山工学振興会の支援を受けて実施されました。
本記事は国立大学法人岡山大学の発表をもとに作成しています。



ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



