スペースシードHD、衛星データ解析ツールをオープンソースで公開
スペースシードホールディングス株式会社は、公開衛星データから地域の土地被覆・樹冠消失・地表水変化などを再現可能な形で集計・解析するツール「satellite-landuse-toolkit」を開発しました。2026年9月13日にオープンソース(MITライセンス)としてGitHubで公開され、研究データリポジトリZenodoでDOI(デジタルオブジェクト識別子)が取得されています。自律型研究基盤「SpaceAgent」に関わる研究開発の一環として設計されたもので、地域事業や次世代教育事業、企業・自治体との研究開発での活用が想定されています。
現在、10 mの空間分解能を持つ土地被覆図や、1984年から2024年までの約40年間にわたる地表水の変遷など、地域環境を把握するための衛星データは無料で公開されています。しかし、実際の利用にはクラウド基盤のアカウントやAPIキー、GISの専門知識が求められることが多く、第三者による再現やデータの正確な解釈が難しいという課題がありました。
satellite-landuse-toolkitは、対象範囲(GeoJSONまたは経緯度の矩形)を指定するだけで、必要な公開タイルの解決とダウンロードを行い、手元のパソコン上で5つのコマンドを用いて集計を実行できます。主なコマンドと対応データは以下の通りです。



- fetch:対象範囲にかかる公開タイルの解決とダウンロード、Sentinel-2のシーン検索
- landcover:ESA WorldCover 10 m(2021)を用いた土地被覆のクラス別面積の出力
- forest:Hansen Global Forest Change 30 m(2001–2025)に基づく樹冠消失の年次面積、タイル被覆率、閾値感度、約1 kmのホットスポットの出力
- water:JRC Global Surface Water 30 m(1984–2024)を用いた水域の遷移クラス別面積や指定した湖の連結水域の出力
- change:Sentinel-2 L2A 10 mによる2時期の裸地変化(同一グリッド・共通有効画素)および実行マニフェストの出力

読み過ぎを防ぐ設計とAIを活用した開発プロセス
本ツールは、衛星データの誤った解釈(読み過ぎ)を防ぐための仕組みが組み込まれています。Sentinel-2の反射率補正の状態が確定できない場合に処理を停止して確認を求める機能や、2時期の比較において両日とも雲や水でない共通有効画素のみを集計する仕様を備えています。また、入力ファイルのハッシュ値や判定根拠を実行マニフェストとして書き出すことで、第三者による結果の再現を可能にしています。
ツールの実装にあたっては、AIエージェントによる開発と別系統のAIエージェントによる独立レビューの往復を6回繰り返すプロセスが採用されました。この検証を通じて複数タイルの合算漏れや位置合わせなどの不具合を段階的に修正し、現在は26本の回帰テストが整備されています。
教育分野や企業・自治体との連携に向けた展開
本ツールは、アカウント登録や費用が不要で一般的なパソコンで動作することから、教育現場での活用も想定されています。中高生が住んでいる地域を対象に土地利用の変化を調べ、データリテラシーを学ぶ探究型プログラムなどが検討されています。
東京都港区に本社を置くスペースシードホールディングス株式会社(代表取締役CEO:鈴木健吾)は、出資先である株式会社スペースノーム研究所(本社:東京都新宿区、代表取締役:藤田大悟)と連携し、次世代教育事業「NEST LAB.」や宇宙利用研究事業「SPACE LAB.」を通じた教育展開や、企業・自治体向けの共同研究を進める計画です。代表取締役CEOの鈴木健吾氏は、「衛星データは、もう誰でも手に入る時代です。難しいのは、正しく分析して解釈することでした。自分の町を衛星から眺め解析し、どこまで言えてどこから言えないかを考える。それは中高生にも、企業の現場にも必要な経験です」とコメントしています。

公開概要
- 名称:satellite-landuse-toolkit(Python パッケージ名 slandu)
- 版:v1.0.0(2026年9月13日)
- リポジトリ:https://github.com/ss-hd-jp/satellite-landuse-toolkit
- DOI:10.5281/zenodo.22730573(全版共通)/10.5281/zenodo.22730574(v1.0.0)
- ライセンス:MIT(コード)
- 動作環境:Python 3.10 以上、rasterio・numpy・scipy・Pillow、外部コマンド curl
本記事はスペースシードホールディングス株式会社の発表をもとに作成されています。
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