NTTデータグループなど、データセンター非常用発電でHVO実証へ 日本初
株式会社NTTデータグループ、川崎重工業株式会社、伊藤忠エネクス株式会社の3社は、東京都が公募した「脱炭素燃料活用における事業化促進支援事業」に採択された。株式会社NTTデータと連携し、NTTデータグループが保有する東京都内のデータセンターの非常用ガスタービン発電設備において、次世代バイオ燃料HVO(Hydrotreated Vegetable Oil)を活用した実証を2026年9月から2028年3月まで実施する。データセンターの非常用ガスタービン発電設備にHVOを使用する実証は日本初(2026年9月時点、NTTデータ調べ)の取り組みとなる。
実証の背景と課題
生成AIの急速な普及や世界的なデジタル化の進展に伴い、データセンターの電力需要は増加しており、AI・デジタル基盤の拡充とカーボンニュートラルの両立が重要な社会課題となっている。多くのデータセンターでは停電時などのサービス継続に向けて非常用ガスタービン発電設備を設置しているが、重油や軽油などの燃焼により温室効果ガスが直接排出される点が課題となっていた。
温室効果ガス排出量を実質的に削減する手法としては、クレジットなどで埋め合わせるカーボンオフセットがある。今回の実証ではこれに加え、既設の設備で使用する燃料を廃食油や植物油などを原料とする次世代バイオ燃料HVOへ転換することで、事業者自らによる直接排出であるScope1の温室効果ガス排出量を削減する手法の実現可能性を検証する。
実証の概要と検証項目
実証は東京都の助成を受け、既存の設備構成を活用しつつ、小出槽や燃料配管、防油堤などの付帯設備を整備して行われる。各種試験や負荷運転を実施し、国内データセンターで広く採用されている非常用ガスタービン発電設備におけるHVO使用時の性能、運用性、安全性などを検証する。
主な検証項目は以下の通り。
- HVO適用時の起動性能、出力、発電効率などの運転特性
- HVO利用時の燃料消費量、燃焼ガス特性および温室効果ガス排出削減効果
- HVO用タンク、配管、発電設備の安全性、信頼性、保守性
- 定期運転や負荷運転試験における運用上の留意点
- 燃料の長期保管性や設備改造の必要性
参画各社の役割分担
本事業では、4社がそれぞれの強みを生かして役割を分担する。
- NTTデータグループ
実証事業全体の統括・マネジメントを担当する。
- NTTデータ
実証フィールドの構築・運用を担当するとともに、非常用ガスタービン発電設備から取得する運転データや排出量データを分析・評価する。また、温室効果ガス排出量の可視化や、トレーサビリティ基盤との連携可能性を検討する。
- 川崎重工
非常用ガスタービン発電設備の技術検証を担当し、HVO適用時の性能、排気特性、安全性を評価する。既設設備で燃料転換を行う際に必要となる技術要件の整理も行う。
- 伊藤忠エネクス
実証に使用するHVOの調達・安定供給を担当するとともに、燃料の品質や性状を評価する。
今後の展開
4社は実証で得られる結果をもとに、データセンターにおける安定運用と環境負荷低減の両立に向け、HVOを活用した非常用発電設備の脱炭素化モデルの確立をめざす。得られた知見を活用してNTTデータグループが保有する国内データセンターへの段階的な展開を検討するほか、大規模オフィスビル、病院、公共施設、物流施設など非常用発電設備を備える施設への適用可能性についても検討を進める。
将来的には、データセンターの温室効果ガス排出量削減に関するコンサルティングやソリューションの展開も視野に入れ、国内外のデータセンター事業者の脱炭素化への貢献や、HVO活用を通じた資源循環・廃棄物削減を推進していく方針だ。
本記事は株式会社NTTデータグループ、川崎重工業株式会社、伊藤忠エネクス株式会社の発表をもとに作成。
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