フェイガー、茶園でのJ-クレジット創出プロジェクトを登録 国内初目指す
株式会社フェイガーは、J-クレジット制度の方法論AG-003を活用し、茶園土壌から発生する一酸化二窒素(N₂O)の排出削減に取り組むプロジェクトが登録されたと発表した。国内の茶生産者と連携し、同方法論による国内初(当社調べ、2026年9月現在)となる茶園由来J-クレジットの創出を目指す。肥料の代替や減肥を通じて茶産地の脱炭素化を進めるとともに、創出された環境価値を生産者へ還元する方針だ。
茶園における窒素施肥と温室効果ガス削減の背景

茶のうま味や品質を支えるアミノ酸の形成には窒素が重要であり、高品質な茶の安定生産において窒素施肥は欠かせない。一方で、施された窒素の一部は土壌中で二酸化炭素(CO₂)の200倍以上の温室効果を持つとされる気体(100年間で比較した場合)であるN₂Oに変わり、大気中に放出される。
農研機構の報告によると、窒素肥料の施用に伴うN₂O排出係数は、水田が0.31%、その他の作物を栽培する畑地が0.62%であるのに対し、茶園では2.9%にのぼる。茶園における品質や収量を維持しながらの窒素施肥の適正化は長年の課題であり、施肥の工夫による削減は気候変動対策として大きな効果につながる可能性があるとされている。
本プロジェクトでは、J-クレジット制度の方法論「茶園土壌への硝化抑制剤入り化学肥料又は石灰窒素を含む複合肥料の施肥」(AG-003 Ver.3.4)を活用する。硝化を抑える肥料へ代替することで土壌中でのN₂O発生を抑制し、従来の施肥を継続した場合との排出量の差を算定してクレジット化を進める。
プロジェクトにおけるそれぞれの役割は以下の通りとなっている。
- 参加する茶農家様:対象となる肥料への切り替えを行い、施肥量・施肥日・対象面積などを記録する。
- フェイガー:参加条件の確認や施肥計画・記録整備を支援し、排出削減量の算定、検証・認証手続き、クレジットの販売と生産者への収益還元を行う。
今回の発表はプロジェクト登録の完了に関するものであり、実際の取り組み後にモニタリング、第三者検証、認証を経てクレジットが発行される。
環境配慮と減肥を組み合わせた生産性向上
本取り組みでは、肥料の切り替えにとどまらず、窒素の総施用量そのものを見直す「減肥」までを視野に入れている。
- 環境面:施用する肥料の切り替えに加えて減肥を組み合わせることで、切り替えのみの場合よりも大きな排出削減効果を見込む。
- 生産者の経営面:減肥によって施肥量を抑えることで高騰する肥料コストの負担を和らげ、生産者が取り組みやすい形を目指す。
創出したJ-クレジットの収益を生産者に還元することにより、環境への取り組みが茶栽培を継続するための収入の1つとなる仕組みを構築する。
今後の展望
同社は今後、国内の茶生産者や産地関係者と連携し、対象圃場の選定や施肥計画の作成、記録整備を進める方針だ。
また、すでに実証試験を実施している茶園におけるバイオ炭の施用についても、残渣の資源循環や土壌改良による減肥・生産性向上の可能性を見込む。バイオ炭の農地施用はJ-クレジット制度の方法論AG-004の対象でもあるため、複合的な価値創出によって得られた環境価値を生産者へ還元し、持続的な仕組みの構築を目指すとしている。
会社概要
- 会社名:株式会社フェイガー
- 所在地:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル3階 0 Club
- 代表者:代表取締役 石崎 貴紘
- 事業内容:脱炭素型農業支援、カーボンクレジット創出・販売支援、耐候性ソリューションの研究開発
本記事は株式会社フェイガーの発表および農研機構、環境省・国立環境研究所「日本国温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)2026年4月版」の公表情報をもとに作成。
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