Grafana Labsがオブザーバビリティ調査の日本版結果を発表 価値評価やAI活用で独自性
クラウド型オブザーバビリティを提供するGrafana Labsは、Futurum社傘下のETRと共同で実施した「2026 State of Observability Report」の日本版の調査結果を発表しました。本調査では、日本のITおよびエンジニアリング部門のリーダー50名の回答を北米、西欧、ラテンアメリカと比較し、オブザーバビリティとAI活用に関する日本の特徴を分析しています。その結果、導入価値を顧客体験の観点で伝える割合や、経営層主導でのAI活用への取り組みなどが4地域で最も高い水準を示しました。
顧客体験を重視する日本のITリーダーと経営層主導のAI活用
経営層や事業部門に対してオブザーバビリティ導入の価値をどのような観点で説明しているか尋ねたところ、日本では「顧客体験・顧客維持」が70%で最多となり、4地域のなかで最も高い割合を記録しました。北米では「稼働率・可用性」(61%)、ラテンアメリカでは「開発者の生産性」(74%)がそれぞれ最多となるなど、地域による違いが見られます。
また、オブザーバビリティへのAI活用に取り組む日本の回答者48名のうち、42%が「経営層の指示のみで進めている」と回答しました。この数値は北米(19%)、西欧(17%)、ラテンアメリカ(29%)を上回っています。
AIへの信頼には根拠と確信度を要求
AIの分析結果を信頼するために最も必要な要素としては、日本の回答者の54%が「判断の根拠がわかること」を、42%が「確信度を数値で示すこと」を挙げました。ETR社による追加分析でも、これら2項目の割合は日本が4地域中トップとなっています。
さらに、LLMを活用したアプリケーションを構築している日本の回答者46名のうち、61%がハルシネーションの発生状況や安全対策を監視していると答えました。これが監視方法の首位となった地域は日本のみでした。
自律修復の壁は技術面より規制やガバナンス
AIによる自律的なシステム修復における最大の壁について、日本の回答者で「技術がまだ十分に信頼できない」と答えた割合は16%にとどまりました。一方で、全体の74%は「規制・コンプライアンス上の制約」(30%)、「顧客の信頼・契約上の義務」(26%)、「社内のガバナンス・承認プロセス」(18%)といった制度や手続き上の課題を挙げています。
オブザーバビリティへの支出が増加した日本の回答者44名への質問では、「新たなコンプライアンス・ガバナンス要件への対応」を理由とした割合が55%に達し、北米(36%)、西欧(38%)、ラテンアメリカ(38%)と比較して突出しています。
AI関連コストの把握が新たな課題に浮上
LLMを活用したアプリケーションを構築している日本の回答者の35%は、AIのオブザーバビリティにおける最大の課題として「モデルやチームをまたいだコストの配分が不明確」であることを挙げ、4地域で最も高い比率となりました。
Grafana LabsのCo-FounderであるAnthony Woods氏は、AIがシステムの運用面とAI自体の可視化という両面でオブザーバビリティを変滅させていると指摘し、システムの自律性が高まるほどAIの動作の可視化が重要になると述べています。
調査の概要
- 実施主体: Futurum社傘下のETR
- 調査時期: 2026年6月
- 調査対象: オブザーバビリティツールの予算または購買に影響力を持つディレクター/VP以上のITおよびエンジニアリングの意思決定者300名(北米150名、日本50名、ラテンアメリカ50名、西欧50名)
本記事はGrafana Labsの発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



