大手製造業のAI投資増も収益化見通しは2割 Scalehack調査
株式会社Scalehackは、従業員数1,000名以上の製造業に勤務し、外部顧客向けAI製品・サービスの企画・開発・事業化に携わる課長相当以上の271名を対象に実施した「大手製造業のAI事業化に関する実態調査」の結果を発表しました。
調査によると、直近1〜2年でAI事業への投資が増加したと回答した割合が80.1%に達した一方、売上・収益を計画通りに拡大できる見通しが「十分に立っている」と回答した人は21.0%にとどまりました。事業化における課題として売り方の設計の遅れや販路開拓を担う人材の不足が浮き彫りとなっています。
投資拡大の一方で収益化の見通しには課題
直近1〜2年における外部顧客向けAI事業・ソリューションへの投資(予算・人員)の変化について、「大幅に増加した」(28.4%)と「やや増加した」(51.7%)を合わせ、80.1%が増加したと回答しました。
一方で、売上・収益を計画通りに拡大できる見通しについては「十分に立っている」が21.0%、「ある程度立っている」が45.8%でした。「あまり立っていない」(26.6%)と「全く立っていない」(5.2%)を合わせた31.8%が課題を抱えている状況が示されています。

最大の障壁は「売り方の設計」の遅れと営業人材の不足
AI事業・ソリューションの事業化・拡大における課題を尋ねたところ、「技術・開発が先行し、売り方の設計が後回しになっている」が48.0%で最多となりました。次いで「AI事業を売れる営業人材が社内にいない」(37.6%)、「既存事業の営業組織ではAI事業を扱えない」(32.5%)が続いています。

また、社内の意思決定に関する「社内の投資判断・決裁に時間がかかる」は13.7%にとどまり、組織内部の決裁よりも販売戦略の策定や営業体制の整備が多く挙げられました。

さらに、顧客・市場の視点から見直して販路開拓まで担える人材の有無については、「十分にいる」が18.1%にとどまる一方、「いるが、不足している」(54.6%)、「ほとんどいない」(20.3%)、「全くいない」(4.4%)を合わせた79.3%が人材不足を感じていると回答しています。

半数以上が試作・開発開始以降に顧客ニーズを確認

外部の見込み顧客に対して課題や導入意向、対価を払う意思を確認し始めた時期については、「試作・開発を始めた後」(24.4%)、「顧客の現場での実証を始めた後」(19.6%)、「商用化・有償提供を始めた後」(5.5%)、「まだ具体的に確認していない」(1.8%)を合わせ、51.3%が開発着手後または未確認の段階であることが分かりました。開発前にあたる「技術構想・要件定義を始める前」は11.4%、「技術構想・要件定義と同じ時期」は35.4%でした。
事業の主な起点としては「自社の設備・データなど既存アセットを活かすため」(30.6%)と「自社の技術・研究成果を活かすため」(25.8%)が合わせて56.4%を占めています。
日本の製造業が物理的な機械にAIを組み込む「フィジカルAI」の領域で海外企業と競争し、勝てると思うかという設問では、「非常にそう思う」(22.5%)と「ややそう思う」(49.1%)を合わせて71.6%が肯定的な見方を示しました。
海外企業との競争に勝つために必要な要素としては、「事業化・販路開拓を推進する人材の確保」(48.3%)が最も多く、次いで「早期に顧客へ提案し、検証しながら事業を磨く仕組み」(44.3%)、「技術力だけでなく、顧客・市場起点で事業を設計する力」(43.5%)が挙げられています。
株式会社Scalehackの代表取締役CEOである倉田 丈寛氏は、調査結果を受け、開発を進めるだけでなく早い段階から顧客の課題や導入意向を確認し、提案活動を通じて事業を磨いていくことの重要性を指摘しています。
調査概要
- 調査名称:大手製造業のAI事業化に関する実態調査
- 調査方法:リサーチマーケティング「リサピー®」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2026年9月9日~9月16日
- 調査対象:従業員数1,000名以上の製造業に勤務し、外部顧客に有償で提供することを目指すAI製品・サービス・ソリューション(フィジカルAI、製造業向けAIなど)の企画・開発・事業化に責任者または担当者として携わる課長相当以上の方
- 有効回答数:271名
- 調査主体:株式会社Scalehack
- 調査機関:株式会社IDEATECH
※本調査は回答者の認識を集計したものであり、企業数を表すものではありません。社内業務の効率化のみを目的としたAI活用は調査対象に含まれません。 ※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しています。
本記事は株式会社Scalehackの発表をもとに作成されています。
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