脳動脈瘤の新規発生は3年間で約0.3% 京都府立医大らが追跡調査
京都府立医科大学大学院医学研究科脳神経機能再生外科学の藤原 岳客員講師や島根県立中央病院の井川房夫医療局次長らの研究グループと、株式会社ユカリアは、共同研究において、初回検査で脳動脈瘤がないと確認された成人10,995人を追跡した調査結果を発表しました。最長約7年間にわたり繰り返しの検査データで追跡したところ、34人に新たな脳動脈瘤が確認され、3年間の累積発生率は約0.3%(およそ360人に1人)であることが判明しました。本研究論文は、イギリスの科学誌『Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry』のオンライン速報版に2026年10月29日付で掲載されました。
脳動脈瘤のない成人10,995人を最長約7年追跡
脳動脈瘤は脳の血管の一部がふくらんだ病変で成人の約3%にみられ、破裂するとくも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血は発症から1か月以内に約3人に1人が亡くなるとされ、日本を含む東アジアでは欧米の約3倍発症率が高いとされています。従来の調査はすでに脳動脈瘤が見つかった人を対象としたものが中心であり、脳動脈瘤のない人に新しくできる頻度を把握することは国際的にも未解明の課題とされていました。
今回の研究では、メディカルチェックスタジオ東京銀座クリニックの脳ドックで2018年1月から2024年12月に頭部MRA(磁気共鳴血管撮影)を受けた65,454人のうち、2回以上受診し、初回検査で脳動脈瘤がなかった成人10,995人(年齢の中央値50歳、女性約43%)を対象としました。治療歴やくも膜下出血の既往もない人を対象に、追跡期間の中央値約3年(最長約7年)で新規の発生を直接追跡しました。

追跡期間中に新たな脳動脈瘤が見つかったのは34人でした。発生率は1,000人あたり年間で約1人(延べ追跡32,941人年において1.03/1,000人年、95%信頼区間0.71–1.44)となり、3年間の累積発生率は約0.3%(0.28%、95%信頼区間0.16–0.40%)にとどまりました。
見つかった脳動脈瘤の大きさの内訳は以下の通りです。
- 3mm未満:約7割(23個)
- 3mm以上5mm未満:約2割(8個)
- 5mm以上:3個
- 10mm以上:なし
喫煙歴があると発生頻度が約2倍 喫煙量に応じた増加傾向も
年齢、性別、喫煙歴、高血圧、家族歴(血縁者に脳動脈瘤またはくも膜下出血)の5つを同時に考慮して解析した結果、喫煙歴のある人は、ない人と比べて新たな脳動脈瘤ができる頻度が約2倍(調整後ハザード比2.10、95%信頼区間1.03–4.28)でした。

さらに、喫煙量(1日の箱数×年数、パックイヤー。1箱は20本)が多いほど頻度が高く、10パックイヤー(1日1箱を10年間に相当)増えるごとに約1.3倍(1.28、95%信頼区間1.13–1.46)となる関係が示されました。なお、年齢・性別・高血圧・家族歴については、今回の人数(新たな脳動脈瘤34人)では明確な差は確認されませんでした。
検診のフォロー間隔や個別化を検討する基礎情報へ
脳ドックで異常なしと判定された人をどのような間隔でフォローすべきかについては、これまで明確な根拠がありませんでした。今回の研究により、3年間に新たな脳動脈瘤が見つかる割合は約0.3%と低い水準であることが明らかになりました。研究グループは、この数値を基礎情報として、検査の適切な間隔や費用対効果の検討に活用できるとしています。
また、初期段階から喫煙との明確な関連が確認されたことから、個人の喫煙歴や喫煙量に応じた検診の頻度設定など、リスクに合わせた検診体系を構築する手がかりになるとしています。
発表元および関連組織の概要
本研究に関わった組織およびサービスの概要は以下の通りです。
京都府立医科大学
- 学長:夜久 均
- 創立:1872年
- 所在地:京都府京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465番地
- ホームページ:https://www.kpu-m.ac.jp/
株式会社ユカリア
- 代表取締役社長:三沢英生
- 所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング 19階
- 事業内容:医療経営総合支援事業、シニア関連事業、高度管理医療機器事業
- ホームページ:https://eucalia.jp/
スマート脳ドック(健診プラットフォーム「スマートドック」の主力サービス)
- 特長:医療施設の滞在時間を短縮し、受付から完了まで30分で実施。撮影画像は放射線科専門医と脳神経外科専門医がダブルチェックを行う
- サービスサイト:https://smartdock.jp/
本記事は京都府立医科大学および株式会社ユカリアの発表をもとに作成しています。
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