東洋紡エムシー 高耐トラッキング性PBT樹脂開発 27年度上市へ
大阪市北区に本社を置く東洋紡エムシー株式会社(代表取締役社長執行役員 CEO:藤井 尚毅)は、高い耐トラッキング性と難燃性を兼ね備えたポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂「バイロペット®」の新グレードを開発したと発表しました。この開発品は、2027年度中の上市を目指しています。
開発の背景と高電圧化への対応
近年、EV(電気自動車)では航続距離の延長や充電時間短縮を背景に、コネクタや充電プラグなどの車載電装部品の高電圧化が進んでいます。これに伴い、車載電装部品に使用される樹脂には、絶縁性能の維持に加え、トラッキング火災を抑制するための高い耐トラッキング性と難燃性が求められるようになっています。
トラッキングとは、樹脂などの絶縁材料の表面に水滴などが付着した状態で高電圧がかかった際、微小な電流や放電が発生し、材料の一部が炭化して導電パス(電気の通り道)が形成される現象です。発火につながる恐れがあるため耐トラッキング性は重要な評価項目の一つとなっており、評価は比較トラッキング指数(CTI:Comparative Tracking Index)で行われます。また、同じ電力を供給する場合は高電圧化によって電流を低減でき、ケーブルの細径化や部品の小型化が可能になるため、高電圧環境に対応する材料へのニーズが高まっています。
開発品の特徴と物性
一般的にPBT樹脂に難燃処方を施すとCTIが低下する傾向にありますが、開発品は高い難燃性(V-0相当/0.8mm)を維持しながら、CTI 600Vを実現しました。難燃剤にはノンハロゲン系を採用しており、環境負荷低減に配慮した設計となっています。
さらに、曲げ強さやノッチ付きシャルピー衝撃強さにおいても高い機械的特性を備えています。
開発品および従来品の特性(代表値)は以下の通りです。
- 樹脂:PBT+GF30
- 曲げ強さ:180MPa(従来品ハロゲン系:200MPa、従来品ノンハロゲン系:180MPa)
- 曲げ弾性率:12.0GPa(従来品ハロゲン系:11.5GPa、従来品ノンハロゲン系:10.0GPa)
- ノッチ付きシャルピー衝撃強さ:8kJ/㎡(従来品ハロゲン系:10kJ/㎡、従来品ノンハロゲン系:10kJ/㎡)
- 難燃性:V-0相当/0.8㎜(従来品ハロゲン系:V-0相当/1.6㎜、従来品ノンハロゲン系:V-1相当/0.8㎜)
- CTI:600V(従来品ハロゲン系:200V、従来品ノンハロゲン系:400V)
※記載の結果は代表値であり保証値ではありません。燃焼性についても代表サンプルでの試験結果であり、燃焼性を保証するものではなく、UL94認証を取得可能であることを保証するものではありません。
想定される用途と今後の展開
東洋紡エムシーは、開発品が持つ高い難燃性と耐トラッキング性を生かし、EVやデータセンターといった高電圧環境下で使用される電装部品(コネクタ、充電関連部品など)や電気・電子部品、ブレーカーなどへの展開を想定しています。
同社は、EVをはじめとする高電圧化が進む分野で安全性向上や高強度化、小型化・軽量化を実現する材料が求められていることを受け、今後もエンジニアリングプラスチック製品の高機能化を進めて市場のニーズに応えていくとしています。
本記事は東洋紡エムシー株式会社の発表をもとに作成しました。
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