日本女子大学が一塩基変異を簡便・低コストに検出する新手法OddCAPSを開発
日本女子大学理学部化学生命科学科・生体応答学研究室(大野速雄研究室)の研究グループは、一塩基変異(Single Nucleotide Variant: SNV)を簡便かつ低コストに検出する新しい遺伝子解析手法「OddCAPS(one-step dual-primer dCAPS PCR)」を開発した。この手法は従来広く利用されているdCAPS法を改良したもので、8種類の制限酵素のみでDNA中の任意の一塩基を検出することを可能にする。研究成果は、米国遺伝学会の学会誌『G3: Genes, Genomes, Genetics』誌に掲載された。
従来手法における制約を緩和する仕組み
遺伝子中の一塩基の違いである一塩基変異(SNV)を迅速に検出することは、生命科学研究やゲノム編集実験において重要な作業とされている。しかし、従来広く使われてきたdCAPS法では、利用できる制限酵素や標的DNA配列に制約があり、適切な検出系を構築できない場合が多く存在していた。
OddCAPS法では、通常のdCAPSプライマーに加えて低濃度の中間プライマーを用いることで、PCR産物中に最大4つの人工的な塩基置換を導入できる。これにより、従来は利用できる可能性が低かった一般的な制限酵素認識配列をPCR産物中に作り出すことが可能となった。
線虫を用いた検証と8種類の制限酵素による対応
研究グループは、線虫 Caenorhabditis elegans の変異体を用いて検証を行い、野生型と変異体、さらに両者が混ざった個体(ヘテロ接合体)をいずれも効果的に識別できることを示した。
さらに、EcoRIやBamHIなど広く普及している8種類の制限酵素のみを用いて、任意のDNA配列中の一塩基を検出できることも実証している。
特殊機器を必要としない幅広い研究への応用
本手法は特殊な解析装置を必要とせず、一般的なPCR装置とアガロースゲル電気泳動装置のみで実施できる。そのため、ゲノム編集実験で作製した変異体の選抜や遺伝解析など、多様な生命科学研究や基礎医学研究において低コストかつ汎用的な解析技術としての活用が期待されている。
論文情報
掲載された論文の詳細は以下の通り。
- 雑誌名: G3: Genes, Genomes, Genetics
- 論文名: OddCAPS: a simple, low-cost, universal technique for detecting single nucleotide variants
- 執筆者名: 川口 華凛1、小町谷 柚葉2、武藤 舞2、手島 諒香1、酒井 奈緒子1,2、大野 速雄1,2 (1日本女子大学理学部化学生命科学科、2日本女子大学理学研究科物質・生物機能科学専攻)
- 掲載日時: 2026年10月27日(現地時間)にオンライン公開
- 掲載URL: https://doi.org/10.1093/g3journal/jkag303
- DOI: 10.1093/g3journal/jkag303
本記事は日本女子大学の発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



