美味しい表記が高級感と購入意向を高めると実証 味の素と明大が発表
味の素株式会社と明治大学商学部の加藤拓巳准教授による研究グループは、商品ブランドネームにおいて「おいしい」「オイシイ」よりも「美味しい」を取り入れることで、商品の高級感を高め、購入意向を促進することを実証しました。だし・コーンスープ・味噌汁の3商品を対象に検証した本成果は、日本マーケティング学会カンファレンス2026で発表され、ベストオーラルペーパー賞を受賞しました。
漢字がもたらす印象と「美」に着目した背景
商品ブランドネームの設計には、特定の音から属性を連想させる音象徴や、形状から属性を連想させる形状象徴といった理論的知見が用いられてきました。今回の研究では、象形文字に由来し一文字で豊かな印象を伝える漢字に着目し、この知見を日本語へと拡張しています。
着目された「美」という文字は、「羊」と「大」で構成され、「神に供えることができる形の良い見事な羊」を由来としています。「美容」「美肌」「美白」「美食」のようにポジティブに用いられ、人間が生来持つ「美」への憧れが無意識のうちに消費者の評価へ影響を与えている可能性を推察して検証が行われました。
日常と贅沢における「美味しい」の意識分析
研究グループはまず、消費者が書き手となる場合を対象に、「美」に対するイメージを評価しました。夏の時期に日常で食べたいものと、贅沢をして食べたいものを自由に回答してもらい、「美味しい」と「おいしい」の出現率を比較しています。
その結果、「おいしい」の言及率は日常が4.0%、贅沢が4.6%と大きな差は見られなかった一方、「美味しい」の言及率は日常が4.8%、贅沢が10.4%となり、有意な差が検出されました。この結果から、人々は書き手として贅沢な対象に「美味しい」の文字を使いやすい傾向があることが示されました。
1,200人を対象としたランダム化比較試験による効果検証
続いて、日本の20~60代の1,200人を対象に、だし・コーンスープ・味噌汁を用いたオンライン調査環境でのランダム化比較試験を実施しました。「なし」「おいしい」「オイシイ」「美味しい」の4グループ(各300人)に分け、商品説明シートを提示して評価を得ています。
検証の結果、高級さを感じた割合は以下の順となりました。
- なし:40.7%
- オイシイ:41.3%
- おいしい:42.3%
- 美味しい:49.7%

Steel検定の結果、「なし」と「美味しい」の間でのみ10%水準の有意差が検出されました。
また、購入意向の割合は以下の通りです。



- なし:33.3%
- オイシイ:36.7%
- おいしい:39.7%
- 美味しい:47.0%
購入意向についても、「なし」と「美味しい」の間でのみ有意差が検出されました。
「美味しい」の後ろにひらがな(おだし)、カタカナ(コーンスープ)、漢字(味噌汁)が続くすべてのパターンで検証が行われており、特定の条件に依存しない効果であることが確認されています。なお、「美味しい」の文字から肉類を想起しやすいため、健康配慮者や環境配慮者には適合しにくい傾向もみられ、健康食品やエシカル食品での使用は避けるべきであると推察されています。
関連リンク
- 日本マーケティング学会 受賞一覧:https://www.j-mac.or.jp/prize/
- 加藤拓巳准教授Webサイト:https://takumi-kato.com/
本記事は味の素株式会社および明治大学商学部加藤拓巳准教授の研究発表(好村和歌子・加藤拓巳. (2026). 「美味しい」は「おいしい」よりおいしい― 漢字が有する印象がもたらす知覚価値への効果 ―. 日本マーケティング学会プロシーディングス2026, 1-10.)をもとに作成しました。
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