脱!サウナ体育館プロジェクト始動 暑さ課題の学校体育館で断熱や空調整備目指す
関係団体・専門家で構成する学校体育館断熱プロジェクト実行会議は、学校体育館の暑さを社会課題として可視化し解決を目指す「脱!サウナ体育館プロジェクト」を立ち上げました。10月12日(月・祝)のスポーツの日を前に、公式Webサイトや元バドミントン世界王者の桃田賢斗選手らのインタビュー映像を公開したほか、指導者を対象とした実態調査の結果を公表しました。さらに、10月8日(木)には石川県輪島市の輪島小学校で啓発活動を行うとしています。



空調設置率の低さと猛暑が影響する現場の実態
文部科学省の調査(令和8年5月1日現在)によると、公立小中学校等の普通教室の空調(冷房)設備設置率が99.6%に達する一方、体育館等は31.7%にとどまっています。都道府県間でも空調設置率は0.8%~95.6%と大きな差があります。
プロジェクトの協力団体である一般社団法人SDGs in Sportsが実施した「消えた夏練」実態調査(学校体育館を主な活動場所とする指導者147名対象、回答期間:2026年9月1日~9月20日)では、空調のない体育館で指導する指導者がこの夏(2026年7月1日~8月31日の活動)に暑さで失った練習時間は平均8.9時間となり、空調のある体育館(平均2.1時間)の約4倍にのぼりました。
また、空調のない体育館では指導者の92%が暑さで活動の中止・短縮・変更を経験し、46%が館内で35℃以上を計測(40℃以上も7名)しました。空調のない体育館の指導者の50%が「このまま続けたら命に関わる」と感じ、63%が熱中症(疑い含む)等に対応したと回答しています。指導者の89%が体育館の空調の有無による練習量・競技力・スポーツ機会の格差を実感している状況が浮き彫りになりました。


本プロジェクトは、全国の学校体育館を「夏でも安心してスポーツができ、災害時には命を守れる場所」にすることを目指し、以下の3つの目標を掲げています。


- 猛暑でも安心してスポーツができる体育館へ
- 「冷やす」前に「熱を入れない」を当たり前に
- 住む場所で差が生まれない避難所へ

目標達成に向けた具体的な取り組み内容は次の通りです。

- モデル体育館で調査・検討する:2件程度の学校体育館を対象に、専門家による現地調査、断熱・空調方式の検討、整備方針・仕様等の作成支援を行います。
- 自治体と一緒に考える:体育館の暑さや断熱に課題を抱える自治体・教育委員会・学校関係者と対話し、それぞれの地域に合った空調・断熱整備について技術的なアドバイスを行います。
- 知識とノウハウを全国へ広げる:体育館断熱の考え方や整備のポイント、モデル地域で得られた知見をガイドブックやオンラインセミナーなどを通じて公開し、全国の自治体や教育関係者が活用できるようにします。
- アスリート、競技団体とともに社会へ発信する:スポーツをする当事者であるアスリートの声を通じて、暑さによってスポーツができなくなる問題や、体育館の空調・断熱の重要性を社会に伝えます。
- 整備を後押しする制度・財源の選択肢を整理する:国の支援制度や官民連携なども視野に入れ、自治体が学校体育館の断熱・空調整備を進める際に活用できる制度や財源の選択肢を整理・検討します。
プロジェクト始動に伴い、NTT東日本選手兼コーチの桃田賢斗選手によるインタビュー映像が公開されました。小学2年生から25年間体育館で競技を続けてきた桃田選手が、高校1年生のインターハイで脱水症状に陥った経験など「暑かった体育館」の記憶と次の世代への想いを語っています。
また、プロジェクトには多数のアスリートや専門家が賛同しています。建築家で東北芸術工科大学 教授の竹内昌義氏は、屋根や窓などの断熱性能が十分でない体育館では冷えにくく電気代もかさみがちであるとし、冷やす前に熱を入れない断熱と空調を組み合わせる重要性を指摘しています。
- プロジェクト名:脱!サウナ体育館プロジェクト
- 主催:学校体育館断熱プロジェクト実行会議(事務局:公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES))
- 協力:SDGs in SPORTS(代表理事:井本直歩子)
- 賛同団体:一般社団法人日本車いすバスケットボール連盟、一般社団法人日本ボッチャ協会、公益財団法人日本バドミントン協会、公益財団法人日本バレーボール協会、公益財団法人日本卓球協会、公益財団法人日本体操協会
- 助成:日本財団
- 後援:公益財団法人日本オリンピック委員会、公益財団法人日本スポーツ協会
- 公式Webサイト:https://sauna-gym.jp/
本記事は学校体育館断熱プロジェクト実行会議の発表をもとに作成しました。
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