ロート製薬、肌の刺激感を客観的に捉える評価法に関する研究成果を発表
ロート製薬株式会社は、2026年9月28日~10月1日にオーストラリアのパースで開催された第36回 国際化粧品技術者会連盟(The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists:IFSCC)世界大会において、ヒトで感じる刺激感を客観的に捉える評価法に関する研究成果をポスター発表しました。
発表タイトルは「From Itch Signature to Signal: A multiomics analysis in tissue engineered skin for predicting skin sensitivity(かゆみのサインからシグナルへ:皮膚感受性予測のための組織工学的皮膚を用いたマルチオミクス解析)」で、シェフィールド大学と共同で実施された研究です。
研究の背景と評価モデルの構築
化粧品などの使用時に生じるかゆみ、ヒリつき、ピリピリ感といった一過性の感覚刺激であるスティンギングは、紅斑や腫れなどの外見上の変化を伴わない場合が多く、メカニズムに未解明な点が多く残されています。従来の評価はヒトの主観的な感覚に依存する部分が大きいため、ヒトを用いずに客観的に予測する評価法の確立が求められていました。
ロート製薬株式会社は2018年に乳酸刺激を用いた三次元組織表皮モデルの網羅的な遺伝子発現解析を実施し、その後シェフィールド大学との共同研究を通じてスティンギング誘発物質の評価に適した7つの遺伝子マーカーを見出しました。今回の研究では、iPS細胞から分化誘導した神経細胞、ヒト真皮線維芽細胞、N/TERT-1ケラチノサイトを用い、気液界面で14日間分化誘導することで、iPS細胞由来の感覚神経細胞を組み込んだ三次元培養皮膚モデル(innervated HSE)を構築しました。
主要遺伝子の特定と研究結果
構築した神経支配皮膚モデルに刺激物質であるカプサイシンを添加し、IL-6、PTGS2、ATF3、TRPV3、MAP3KB、HMGB2、MMP-3の7種類の遺伝子についてqRT-PCRによる発現解析を行いました。
解析の結果、本モデルはカプサイシンに対してより高い反応性を示し、スティンギングにおける細胞間クロストークを理解するうえで感覚神経細胞の存在が重要であることが明らかになりました。さらに、感覚神経細胞が存在する条件下において、IL-6、TRPV3、MMP-3の3つがスティンギングに重要な役割を果たす主要遺伝子であることが示唆されました。
今後の展望と動物実験代替法への取り組み
本研究で構築された評価技術を発展させることで、化粧品による刺激感をin vitroで予測する新たな評価法への展開や、敏感肌向け製品の研究開発、客観性の高い安全性・有用性評価への応用が期待されています。今後は候補となる分子シグナルの再現性や様々な刺激物質に対する予測性の検証が進められます。
大阪市に本社を置くロート製薬株式会社(社長:瀬木英俊)では、培養細胞や三次元組織モデルを用いるin vitro評価法、コンピュータを用いたin silico毒性予測、化学反応性を評価するin chemico評価法などを活用し、動物実験に依存しない評価技術の研究開発を進めています。
本記事はロート製薬株式会社の発表をもとに作成。
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