Dellows News

住友重機械工業が開発参画のX線分光撮像衛星XRISM、要求寿命を達成し延長運用へ

住友重機械工業株式会社が開発に携わった観測装置を搭載するX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」が、打上げから3周年を迎える2026年9月7日(月)に要求寿命を達成しました。同衛星は当初計画で3年間のミッション期間が設定されていましたが、宇宙理学委員会による科学レビュー等を経て、2030年3月までのプロジェクト延長が決定されています。東京都品川区に本社を置く住友重機械工業(代表取締役社長:渡部敏朗)は、延長運用期間においても冷凍機システムを通じた貢献を継続するとしています。

X線分光撮像衛星「XRISM」の役割と観測目的

XRISMは、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が米国航空宇宙局(NASA)とのジョイントプロジェクトとして、欧州宇宙機関(ESA)協力のもと開発したX線天文衛星です。

星や銀河の間を吹き渡る風である「高温プラズマ」を観測し、X線の精密分光撮像によって星や銀河の中でつくりだされる物質やエネルギーの流転を調べ、天体の進化を解明することを目指しています。

超精密観測を可能にする極低温冷却システム

住友重機械工業が開発に携わった観測装置「Resolve」は、超精密にエネルギーを測るマイクロカロリメータです。物質がX線を吸収して熱に変わる際の極めてわずかな温度変化を計測するため、センサー部分のエネルギー分解能を高める目的で、絶対温度0.05度(マイナス273.1℃)の極低温に冷却する必要があります。

この冷却には、NASAが開発した断熱消磁冷凍機とともに、住友重機械工業の以下の機器や駆動エレクトロニクスを含む冷却システムが使用されており、現在も極低温環境を維持しながら運用されています。

  • 超流動液体ヘリウムタンク:断熱容器の中に超流動液体ヘリウムを保持し、絶対温度1度(約マイナス272℃)まで冷却可能。30リットルの超流動液体ヘリウムを軌道上で3年以上保持することが要求されている
  • 2段スターリング冷凍機:宇宙用に特化し、冷却対象を絶対温度20度(約マイナス253℃)まで冷却可能
  • 4Kジュールトムソン冷凍機:冷却対象を絶対温度4度(約マイナス269℃)まで冷却可能。2016年に打上げられたX線天文衛星ASTRO-H(「ひとみ」)にも採用

観測装置「Xtend」の安定運用と今後の展望

住友重機械工業は、もう一つの観測装置である「Xtend」の開発にも携わっています。同装置には、宇宙用に特化して冷却対象を絶対温度80度(約マイナス193℃)まで冷却できる1段スターリング冷凍機とその駆動エレクトロニクスが使用されており、安定した運用が続けられています。

要求寿命の達成に伴い、XRISMは2030年3月までの延長運用期に入ります。住友重機械工業は、今後の延長運用期間においてもXRISMの科学観測を支える冷凍機システムを通じて、宇宙観測ミッションへの貢献を継続していく方針です。

本記事は住友重機械工業株式会社の発表およびJAXA/XRISMウェブサイトの公開情報をもとに作成しました。

アクセスランキング

今日

1週間