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日本赤十字社、欧州滞在歴による献血制限を2026年10月から撤廃へ

日本赤十字社は、2026年10月1日から、欧州などの滞在歴に基づく献血制限を撤廃し、プラセンタ注射剤使用歴に関する基準を緩和することを明らかにした。英国を中心とした牛海綿状脳症(BSE)の流行に伴い、輸血による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)伝播を防ぐための予防的措置として実施されてきた基準が見直される。厚生労働省の調査会において、国内外の発生状況や感染リスク評価を踏まえて示された方針に基づく対応となる。

2026年10月1日からの献血基準の変更点

2026年10月1日からの改定により、欧州などの滞在歴については、vCJD対策として実施してきた滞在歴に基づく献血制限が撤廃される。2026年9月30日までは、vCJD対象地域・期間の滞在歴により献血をご遠慮いただく場合があった。

国内承認のプラセンタ注射剤であるラエンネック/メルスモンの使用歴については、改定前は期間を定めず基本的に献血をご遠慮いただく取り扱いだったが、改定後は最終使用日から3か月間は献血をご遠慮いただき、3か月経過後は献血可能となる。

なお、海外からの帰国日(入国日)当日から4週間以内の献血制限など、他の感染症対策や健康状態などに基づく献血基準は引き続き適用される。また、最終的な献血の可否は、当日の問診および健診医の判断による。

vCJDに関する献血制限の背景と経緯

欧州などの滞在歴およびヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に基づく献血制限は、英国を中心としたBSEの流行と、輸血によるvCJD伝播の可能性を踏まえ、血液製剤の安全性を確保する予防的措置として実施されてきた。

主な経緯は以下の通りとなっている。

  • 1999年:1980~1996年に英国へ6か月以上滞在した方を対象に、献血制限を開始。
  • 2005年:国内初のvCJD症例確認(英国に24日間程度、フランスに3日間程度滞在歴のある症例)を受け、英国滞在歴の基準を「1日以上」に強化。
  • 2006年:ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤の使用歴がある方について、献血をご遠慮いただく取扱いを開始。
  • 2010年:英国滞在歴の基準を「1日以上」から「1か月以上」に緩和。
  • 2022年以降:米国、豪州などで、欧州滞在歴に基づく献血制限の撤廃が進展。
  • 2026年1月:薬事審議会血液事業部会安全技術調査会において、国内の感染リスク評価などを踏まえ、制限撤廃の方針を提示。
  • 2026年10月:日本赤十字社が新しい献血基準を運用開始。

2026年1月14日に開催された厚生労働省の薬事審議会血液事業部会安全技術調査会では、国内外のvCJD発生状況、厚生労働科学研究による感染リスク評価、諸外国における献血制限の状況などを総合的に勘案し、制限を撤廃することが適当であるとの方針が示されていた。

安全性評価と今後の運用

安全性については、厚生労働科学研究において献血によるvCJD感染リスクの評価が行われた。

同研究では、日本独自の数理モデルを用い、英国でBSE流行に伴うvCJD発生リスクが高かった1980~1996年に1か月以上滞在した日本人を対象に、献血を起点とする感染リスクを推計した。最大リスクを想定した複数のシナリオを含めて評価した結果、英国滞在歴に基づく制限を撤廃しても、国内のvCJD患者が増加することはないと結論付けられている。国内では2005年に確認された1例以降、新たなvCJD患者の発生は報告されていない。

日本赤十字社は、基準変更後も国の基準に基づく問診や検査などの安全対策を着実に実施し、安全な血液製剤を安定的にお届けできるよう努めるとしている。輸血用血液製剤は長期間保存することができないため、年間を通じた継続的な献血への協力が必要とされている。

本記事は日本赤十字社および厚生労働省の発表をもとに作成。

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