人手不足倒産が過去最多ペース、小規模事業者に打撃

帝国データバンクが発表した調査結果によると、2024年上半期の人手不足倒産件数は182件に達し、前年同期の110件から大幅に増加した。特に従業員10人未満の小規模事業者の人手不足倒産は全体の約8割を占めており、1人の退職が大きな打撃となっている現状が浮き彫りとなった。

労働力調査では就業者数が22カ月連続で前年同月を上回るなど、人手不足感は高水準ながらも低下の兆しがみえる一方、転職等希望者は過去最多を更新し、労働市場の流動化が加速している。小規模事業者にとって、退職者の発生は事業継続の断念につながるリスクが高まっている。

2024年4月から運転業務や建設業務の時間外労働に上限規制が適用された「2024年問題」の影響で、建設業は53件、物流業は27件と年上半期としては過去最多の人手不足倒産件数を記録した。特に物流業では前年同期の15件からほぼ倍増しており、バリューチェーン全体への影響が懸念される。

物流面の対応を行う企業は62.7%に上り、運送費の値上げやスケジュールの見直しなどの対策が取られている。自社の人手不足だけでなく、関連するステークホルダーの状況把握にも注意が必要とされている。

人手不足による企業経営への影響が一段と深刻化するなか、業務効率化も難しい状況が長期化すれば、業績への影響は避けられず、生き残りが難しい局面を迎えることになるだろう。小規模事業者を中心に、今後も人手不足による倒産に追い込まれるケースが増加する可能性がある。