鉄道係員への暴力件数、2023年は517件でコロナ前の水準に迫る
2023年度、日本の37社局の鉄道会社で合計517件の鉄道係員に対する暴力行為が発生した。前年度の543件から26件減少したものの、依然として500件を超える高い水準にあり、コロナ禍以前の発生件数に迫っている。
月別では6月から9月にかけて昨年度を大幅に上回る発生件数となった。曜日別では金曜日、土曜日、日曜日に多く発生し、時間帯別では夜間と深夜の発生件数が多くなっている。暴力行為の加害者の約54%が酒気を帯びていたことから、暴力行為と飲酒には相関関係があると考えられる。加害者の年齢に偏りはなく、幅広い年代に分布している。
暴力行為件数の減少は、全国の鉄道事業者による啓発ポスターの掲出、警察官の巡回や警備員の配置、駅係員への研修、防犯カメラの駅構内・車内への設置等が抑止に大きく寄与していると考えられる。また、報道機関等を通じて鉄道係員に対する暴力行為の現状についての認知度が高まったことも、暴力行為の未然防止に繋がっていると思われる。
鉄道業界は、暴力行為は絶対に許されないこと、そして業界全体が結束して毅然とした態度で対応することを強く訴えている。鉄道係員に対する暴力行為は、社会問題として深刻な状況にあり、今後も継続的な取り組みが必要とされている。