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3DCと横浜国大、炭素材料GMSでリチウムイオン電池の急速放電性能向上を確認

株式会社3DCは、横浜国立大学の宇賀田洋介助教、藪内直明教授らとの共同研究を実施しました。同社が開発する炭素材料「Graphene MesoSponge®(GMS)」をリチウムイオン電池の正極に1重量%添加することで、急速放電性能が向上することを確認しました。高密度・厚膜の正極において、大きな電流で放電した際に取り出せる容量が、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を用いた正極の約1.5倍となり、研究成果は国際学術誌「Advanced Energy Materials」に掲載されました。

電子とリチウムイオンの輸送を支援し放電容量を維持

リチウムイオン電池の高エネルギー密度化に向けて正極を厚くし活物質を高密度に充填すると、電解液が入る空隙が減少し、リチウムイオンの移動が妨げられて大電流放電時に容量を十分に取り出せなくなる課題があります。

本研究では、リチウムとニッケルからなる層状酸化物を正極活物質に用いて検証を行いました。GMSの炭素骨格が電子の通り道となり、内部のナノサイズの細孔に保持された電解液がリチウムイオン輸送に寄与することで、三次元輸送経路が確保されることが明らかになりました。

試験条件(高電流条件は800 mA g⁻¹[15.5 mA cm⁻²])において、低電流ではSWCNT電極と同等の容量を示しつつ、高電流時にも高い放電容量を維持し、SWCNTを用いた電極の約1.5倍の容量を取り出せる結果を得ています。

学術誌への論文掲載と専門書の刊行

3DCは2024年4月に藪内教授との共同研究を開始し、今回の研究には同社研究員の上田浩視氏、石井康祐氏も共著者として参加しました。研究成果は2026年10月8日付で国際学術誌「Advanced Energy Materials」にオンライン掲載されています。

本研究はJST GteX(JPMJGX23S3)、ASPIRE(JPMJAP2313、JPMJAP2528)、さきがけ(JPMJPR25M2)などの支援を受けて実施されました。

また、同社CSOの西原洋知東北大学教授らが執筆したGMSの専門書「Three-Dimensional Graphene: Graphene Mesosponge Synthesis, Characterization, and Applications」が、Wiley-VCHから2026年10月に刊行されています。

今後の用途展開と事業化への取り組み

横浜国立大学の藪内直明教授は、GMSについて、両立が難しいとされてきたエネルギー密度と入出力性能をともに向上させる可能性を秘めた日本独自の材料であると評価しています。また、3DC代表取締役CEOの黒田拓馬氏は、今回の共同研究によって事業化に向けた開発に学術的な裏付けが加わったとし、メーカーとの開発や価値づくりにつなげていく姿勢を示しています。

同社は、データセンターのバックアップ電源や産業用ドローンなど高出力が求められる用途を中心に、EVや半導体分野などへの展開を目指す方針です。国内外の電池メーカーや材料メーカーとの共同開発を進め、早期の事業化を図るとしています。

株式会社3DC 概要

  • 企業名:株式会社3DC
  • 代表者:黒田 拓馬・西原 洋知
  • 設立:2022年2月
  • 本社:宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学 産学連携先端材料研究開発センター
  • 川崎事業所:神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 新川崎・創造のもり地区 AIRBIC A38&A41
  • 事業内容:炭素材料の開発・製造・販売
  • HP:https://www.3dc.co.jp/ja

本記事は株式会社3DCの発表(横浜国立大学プレスリリースを含む)をもとに作成されています。

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