フェイガー、家畜排せつ物管理変更によるJ-クレジットのプロジェクトを登録
農業由来カーボンクレジット事業を手がける株式会社フェイガーは、J-クレジット制度の方法論「家畜排せつ物管理方法の変更(AG-002)」を活用した温室効果ガス排出削減プロジェクトについて、2026年9月29日の第70回認証委員会にてプロジェクト登録されたと発表した。複数の畜産生産者が会員として参加するプログラム型プロジェクトで、認証対象期間全体で100万t-CO₂超の排出削減を計画している。クレジットは取り組み後のモニタリングや第三者による検証・認証を経て発行され、初回のクレジット認証は2027年中の申請を予定している。
本プロジェクト(プロジェクト名称:家畜排せつ物管理方法の変更による温室効果ガス排出削減プロジェクト、プロジェクト番号:JCS-PJP00454)は、牛(乳用牛・肉用牛)、豚、鶏の排せつ物の管理方法を、堆積発酵などから強制発酵など温室効果ガスの排出が少ない方法へ変更する取り組みを対象とする。従来の管理方法を続けた場合の排出量と、変更後の排出量(設備の電力・燃料の使用による排出を含む)との差を算定し、第三者による検証と認証を経てJ-クレジットとして発行される。

参加する畜産生産者は、排せつ物の管理方法を変更したうえで、飼養頭数・飼養日数、設備の稼働開始日や導入費用、電力・燃料の使用量などの記録を提供する。稼働開始日が入会申込日の2年前以降であれば、すでに導入済みの設備も対象となるほか、設備稼働前からの入会も可能としている。参加には入会費無料の「フェイガー脱炭素農業協会」への入会が必要で、各生産者の認証対象期間は8年間となる。さかのぼってのクレジット化はできないため、早期の参加ほど対象期間が長くなる仕組みである。協業先が生産者の紹介や情報収集を支援し、フェイガーが参加条件の確認から排出削減量の算定、手続き、クレジット販売、収益還元までを担う。
畜産における温室効果ガス削減の背景と課題
家畜排せつ物からは、100年間で二酸化炭素(CO₂)の28倍の温室効果を持つとされるメタン(CH₄)や、同265倍の一酸化二窒素(N₂O)が発生する。国内の農林水産分野における温室効果ガス排出量4,638万t-CO₂(2024年度)のうち、家畜排せつ物の管理に由来するものは約555万t-CO₂(CH₄ 248万t、N₂O 307万t)と削減ポテンシャルが大きいものの、方法論「AG-002」で認証されたクレジットは2026年8月時点で累計6,898t-CO₂にとどまっている。
排せつ物に空気を送り込んで好気的に分解を進める強制発酵は、メタンの発生抑制や堆肥化期間の短縮、切り返し作業の省力化につながる一方、設備の導入費用や電気代が生産者の負担となる。J-クレジット制度では、追加性の評価が省略されない方法論の場合、設備の投資回収年数が3年以上、またはランニングコストが増えることが登録要件となっており、クレジットの収益がこれらの負担を補う収入となる。


生産者への還元と今後の農業支援
プロジェクトでは、クレジットの販売額のうち生産者に戻る割合を高く設定し、還元の条件を年度ごとの基準価格として合意したうえで取り組みを行う。基準価格は市況に合わせて毎年見直され、市況が良い場合には追加還元も行われる。販売時の価格変動や在庫のリスクはフェイガーが負い、生産者には認証されたクレジット量に応じて認証後すみやかに支払われる。同社は水稲の「中干し期間の延長」でも同様の仕組みを運用しており、2026年3月に認証された約22.5万t-CO₂のクレジットについて、翌4月に生産者への支払い手続きを完了した実績を持つ。
フェイガーは水稲分野において、2026年3月に225,735t-CO₂の認証を取得し、2026年度は約3,600戸・約6.5万haの生産者がプロジェクトに入会しているほか、全国約20か所で「耐候性レシピ」の実証を進めている。畜産分野においても、堆肥の出口確保や堆肥とバイオ炭を組み合わせた資源化、耕種農家との連携による資源循環に加え、収益を暑熱対策など気候変動への適応に生かす取り組みを検討していくとしている。

株式会社フェイガーの概要
東京都千代田区に本社を置く株式会社フェイガーは、代表取締役の石崎 貴紘氏のもと、脱炭素型農業支援やカーボンクレジット創出・販売支援、耐候性ソリューションの研究開発を手がけている。
- 所在地:〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル3階 0 Club
- 代表取締役:石崎 貴紘
- 事業内容:脱炭素型農業支援、カーボンクレジット創出・販売支援、耐候性ソリューションの研究開発
- 公式HP:https://faeger.company/
本記事は株式会社フェイガーの発表資料をもとに作成されています。また、本文中の排出量およびクレジット認証に関するデータは、農林水産省「農林水産分野におけるカーボン・クレジットの拡大に向けて」(令和8年9月)、「畜産環境をめぐる情勢」(令和8年10月、排出量の元データは国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス)、ならびに「J-クレジット制度 実施規程(プログラム型プロジェクト用)Ver.1.3 2.2.5」「方法論AG-002 Ver.3.1」の公表資料に基づいています。
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