富士通、ドローン配送受容性の研究成果をUvanceに活用へ
富士通株式会社は、地域や生活者の特性に応じたラストワンマイル物流の実現に向け、ドローン配送の社会受容性に関する研究成果を事業モデル「Uvance」のDynamic Supply Chain Managementに活用すると発表した。九州大学や成均館大学校などの研究者と取り組んだ共同研究の知見をもとに、商流・物流データとAIによる分析やシミュレーションを組み合わせる。これにより、パートナー企業や物流事業者、自治体、地域事業者などとともに地域ごとに適した配送サービスの設計や事業モデルを検討し、輸送手段の最適化につなげる。
研究成果とデータを融合した配送計画の策定
ラストワンマイル配送では、EC市場の拡大や物流の2024年問題を背景に人手不足や輸送能力不足が課題となっている。人口減少が進む山間地域で既存の配送網維持が難しくなる一方、都市部では迅速性や受取方法の柔軟性、価格に対するニーズが多様化している。ドローンや自動配送ロボットなどの技術導入には、地域や生活者の理解と信頼を得ながらニーズに応じた設計を行うことが求められている。
富士通は、研究成果から得られた社会受容性の知見と、配送需要、輸送能力、リードタイムなどの商流・物流データを組み合わせ、AIによる分析やシミュレーションを実施する。人口集中地域では利便性や価格を踏まえた配送計画を目指す一方、山間地域などでは自治体や地域事業者とともにドローンを活用した配送サービスの導入と定着に取り組む。さらに、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)などの既存物流システムとPhysical AIをデータ連携させ、地域需要に応じたトラック、ドローン、自動配送ロボットの役割分担の最適化を図るとしている。
Physical AIの社会実装に向けた展開
富士通は、2026年4月にCarnegie Mellon Universityと設立した「Fujitsu-Carnegie Mellon Physical AI Research Center」を通じて、プラットフォーム「Fujitsu Kozuchi Physical OS」の開発を進めている。
今回の研究知見をドローンや自動配送ロボットの導入領域、運用条件、生活者とのコミュニケーションや信頼形成の検討に反映させ、技術面と社会受容面の両面からPhysical AIの社会実装を推進する。
全国5,113名を対象に受容要因を分析
今回活用される研究成果は、日本全国5,113名を対象に、UAM(Urban Air Mobility)を活用したラストワンマイル配送に対する受容要因を分析したものだ。分析の結果、受容には配送速度や料金といった利便性だけでなく、制度や仕組みへの信頼、社会課題解決や地域社会への貢献といった社会的価値への共感が大きく影響することが判明した。
受容傾向は地域や生活者の特性によって異なり、大きく以下の2つの層に分かれることが示されている。
- 配送リードタイムや運営事業者の種類などの機能面に反応する層
- ドローン配送を支える制度や仕組みへの信頼と、買い物が不便な地域の住民や高齢者を含め誰もが物流サービスを利用し続けられることを重視する層
この結果から、社会実装には地域や生活者ごとの違いを踏まえたサービス設計とコミュニケーションが重要であることが示されたとしている。本研究成果は、2026年7月29日に国際学術誌「Transportation Research Part E: Logistics and Transportation Review」のオンライン版に掲載され、同誌Volume 215(2026年11月刊行)に収録される。
今後の取り組みと掲載論文情報
富士通は今後、年齢層別の受容特性に応じたサービスやコミュニケーションの設計、安全認証などの制度設計に関する提言、商流・物流データ基盤を活かしたエコシステムの構築支援に取り組む予定だ。制度への信頼や社会的価値への共感に関する知見を、Dynamic Supply ChainおよびPhysical AI領域のオファリング開発や社会実装に活用するとしている。
掲載された論文の詳細は以下の通り。
- 論文名:Beyond efficiency: societal benefit perception as a driver of public acceptance for UAM-based last-mile delivery in Japan
- 掲載誌:Transportation Research Part E: Logistics and Transportation Review, Volume 215(2026年11月), Article 105127
- 著者:
- 金度亨(第一著者、富士通株式会社/九州大学大学院 博士課程)
- 兪 善彬(責任著者、成均館大学校 准教授/慶應義塾大学 特任准教授)
- 馬奈木 俊介(九州大学 理事・副学長)
- Zheng Chang(北京師範香港浸会大学(BNBU)教授、ハーバード大学客員教授)
本記事は富士通株式会社の発表をもとに作成。
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