日本オフサイト建築協会、防災と地方創生を両立するオフサイト建築モデルを発信
一般社団法人日本オフサイト建築協会は、2026年10月17日(土)に開催された「ぼうさいこくたい2026 in 鳥取」において、オンラインセッション「平時の賑わいが有事の支えになる ~鳥取県北栄町と山梨県丹波山村と日本オフサイト建築協会が描くフェーズフリー復興モデル~」(SO-20)を開催しました。セッションでは鳥取県北栄町、山梨県丹波山村、民間建築事業者が登壇し、人口減少社会における地域づくりの実践事例を紹介しました。平時と災害時の双方で活用できる「オフサイト建築」の可能性や、関係人口および企業とのつながりを災害支援に生かす仕組みについて意見が交わされました。
人口減少地域における地方創生と防災の両立
地方部では人口減少や高齢化に伴い、住宅不足、建設技能者の減少、生活サービスの維持、地域コミュニティの衰退といった課題が同時に進行しています。こうした課題は日常や経済だけでなく、災害時の対応力や外部支援を受け入れる受援力にも影響を及ぼします。
セッションでは、地方創生と防災を一体として捉え、平時の地域づくりを災害への備えとする考え方が共有されました。その具体策として、建物の主要部分を工場等で製作して現地へ運搬・設置するオフサイト建築を取り上げ、移設可能な建物を平時から利用し災害時にも役立てる「社会的備蓄」の可能性が議論されました。
自治体によるオフサイト建築の導入と関係人口の活用
鳥取県北栄町の岡本圭司副町長は、関係人口を活用したまちづくりと防災機能強化の取り組みを紹介しました。同町では道の駅に隣接するオートキャンプ場にオフサイト建築の宿泊用コテージを整備し、平時は観光や滞在拠点として、災害時は避難施設や応援部隊の活動拠点として活用することを想定しています。大規模災害時には建物を分解・移設して被災地等で活用する可能性も示されました。
山梨県丹波山村地域創造課の矢嶋澄香氏は、移住促進に伴う住宅不足への対応として、同協会と連携してオフサイト建築の移住促進住宅3棟を整備した事例を報告しました。また、村営保育所の多目的スペースの増築にも同工法を採用しています。村内に大工や工務店が少なく山間地特有の条件がある中、工場生産を活用する方式が施設整備を進める手段になっていると説明しました。
地域の建築生産体制の育成と社会的備蓄の展開
株式会社クリエイト礼文代表取締役CEOで同協会理事の大場友和氏は、建築事業者の視点から新たな建築生産システムについて解説しました。大工の高齢化と担い手不足が進む中、設計や施工手順の標準化を進めて製造業の考え方を取り入れる重要性を指摘しました。
地域工務店への技術移転によって各地でオフサイト建築を製作・施工できる体制を整えることが、平時の技能者不足への対応と災害時の住宅供給力強化につながると説明されました。さらに、山形県での移設可能なコインランドリー施設の事例を挙げ、平時は生活インフラとして活用し、災害時には被災地の衛生環境確保に役立てるなど、生活サービス施設にも社会的備蓄の対象を広げる考え方が示されました。
平時からの関係構築が災害時の相互支援に
同協会代表理事の長坂俊成氏(立教大学教授)がコーディネーターを務めた総合討論では、平時の地方創生を災害時の支援につなげる方策が話し合われました。丹波山村からは村に関わった人々との関係維持や民間企業による生活支援の事例が、北栄町からは企業と連携した施設活用などが共有されました。平時から顔の見える関係を築いておくことが、災害時の相互支援の基盤になるという見解が示されました。
本セッションのアーカイブ映像は、YouTube(https://youtu.be/g3kXouwd8O4)で公開されています。
一般社団法人日本オフサイト建築協会の概要
一般社団法人日本オフサイト建築協会は、オフサイト建築の普及を通じて持続可能な建築供給体制の構築と迅速な住宅・施設供給の実現を目指しています。
- 代表理事:長坂俊成
- 公式ウェブサイト:https://offsite.or.jp/
- 主な実績:令和6年能登半島地震において石川県内の輪島市・七尾市・能登町で8団地261戸の建設型応急住宅などを供給。令和8年熊本地震では熊本県との災害協定に基づき自宅敷地内への建設型応急住宅の供給を実施
本記事は一般社団法人日本オフサイト建築協会の発表をもとに作成しました。
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