TBM、東京都の補助金に採択 荒川区にCO₂と焼却灰を活用する開発拠点整備へ
株式会社TBMは、東京都が実施する「新産業創出に向けた企業立地支援補助金」の令和8年度第1回支援企業に採択された。同社は東京都荒川区に研究開発拠点を整備し、排ガス由来のCO₂と焼却灰を活用した低炭素素材およびCCU(Carbon Capture and Utilization:CO₂の回収・利用)建材の製造プロセスの確立に取り組む。既存のCCU建材商用化で得た知見を生かし、需要拡大が見込まれる低炭素建材の供給を担うプラント事業の確立を目指す方針だ。
荒川区の既存施設を改修し実証設備を導入
今回の事業において、TBMは東京都荒川区にある既存施設を改修し、CCUプロセスの実証設備や分析装置などを導入する予定としている。これまでの研究成果を基に、製造規模を拡大した際の品質やコスト、運転の安定性を検証する環境を整え、将来的な商用プラントの設計や事業化に必要なデータを蓄積していく。
具体的には、排ガス由来のCO₂と焼却灰から抽出したカルシウムを反応させ、CCU炭酸カルシウムとして固定・回収するプロセスを検証する。すでに商用化しているCCU建材で培った配合・加工・品質評価の知見を生かし、製造した炭酸カルシウムの品質や、建材等に配合した際の加工性および性能の評価を行う。
環境規制の強化とCO₂利活用市場の拡大
建築分野では、建物の使用時における省エネに加え、建材の製造や施工、解体等に伴う「エンボディド・カーボン」の削減が求められている。欧州委員会によると、EUでは2030年からすべての新築建物に対してライフサイクル全体の地球温暖化係数(GWP)の算定・開示が義務付けられる。また日本でも参議院の議案審議情報によると、2026年7月に建築物省エネ法の改正法が成立・公布され、一定規模以上の特定用途の建築物を対象にライフサイクルカーボンの算定・評価や届出を義務付ける制度が設けられた。
富士経済が2022年に公表した調査では、建材や燃料、化学品等を含む世界のCO₂利活用製品市場は、2022年見込の約9.4兆円から2050年には約71.2兆円へ拡大すると予測されている。TBMはすでに廃棄物由来のカルシウムと排ガス由来のCO₂を反応させたCCU炭酸カルシウムを活用し、床材などのCCU建材を商用化して複数の採用実績を持つ。本事業ではその知見を焼却灰の資源化に応用し、最終処分量の削減と建材供給を両立させる技術の確立を進める。


TBMは将来的として、焼却施設と連携した小規模・分散型のCCUプラントへの展開を目指している。焼却灰の処理と、そこから製造した素材・建材の販売を組み合わせる事業モデルを構築し、発生したCO₂と焼却灰を建築物向けの素材として活用することで、廃棄物処理から素材製造、建材利用へとつながる産業創出に取り組む。
同社は内装材やエクステリアに加え、今後は生コンクリートやブロック、外装材など都市全体への導入を進め、建築における脱炭素化と持続可能な素材利用を推進していくとしている。
支援制度および採択企業の概要
本事業が採択された「新産業創出に向けた企業立地支援補助金」および株式会社TBMの概要は以下の通り。
新産業創出に向けた企業立地支援補助金
- 実施主体:東京都
- 事業内容:波及効果の高い産業を対象に、革新的な研究開発拠点や経済安全保障に資する生産拠点の都内整備を支援
- 補助対象期間:補助事業計画書の承認日から2年間
- 補助対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費用、外注費、人件費など
- ウェブサイト:https://shinsangyo-ricchishien.metro.tokyo.lg.jp/
株式会社TBM
- 代表者:山﨑 敦義
- 所在地:東京都千代田区有楽町 1-2-2 15F
- 設立:2011年8月
- 資本金:1億円(資本準備金含み、36億2056万円 / 2025年12月末時点)
- 事業内容:CO₂を再利用したカーボンリサイクル、高機能再生材をはじめとする新素材開発、製品開発及びプラスチックの資源循環事業等
- URL:https://tb-m.com/
- CCU事業紹介動画:https://youtu.be/YIXzbM03qag
本記事は株式会社TBMの発表、ならびに内閣官房、欧州委員会、参議院、富士経済の公表情報をもとに作成。
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