訪日外国人のAI利用は9割超で約3割が予定外の訪問先を追加 博報堂調べ
東京都港区に本社を置き名倉健司が代表取締役社長を務める株式会社博報堂の全社プロジェクト「博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボ」は、「5カ国インバウンド顧客購買意識調査2026」の結果を発表しました。調査によると、訪日旅行中に生成AIを利用した人の割合は対象5カ国すべてで9割を超え、AIを通じて予定になかった訪問先を追加した人は約3割にのぼりました。また、工場見学やワークショップといった深いブランド体験への参加が、一部商材において帰国後の継続購入意向を高めている実態なども明らかになっています。
訪日客の9割超が生成AIを活用し行動選択にも影響
訪日旅行中の生成AI利用率は、韓国92.7%、タイ99.5%、米国94.2%、中国95.6%、インド98.5%となり、調査した5カ国すべてで9割を超える結果となりました。利用されるツールとしてはChatGPTやGoogle Geminiが普及している一方、中国では豆包(Doubao)が66.0%で最も高くなるなど、国ごとに利用実態の違いが表れています。
旅行中の生成AI活用によって、予定になかった場所や店舗、体験を追加した人は31.3%となり、検討する商品やブランドが変わった人も20.0%に達しました。一方で、定番や観光客向けの情報に偏っていた(27.9%)、信頼性を判断しにくかった(25.7%)など、得られる情報の質に関する課題も指摘されています。


訪日外国人の59.9%が、工場や生産地の見学、職人技の見学、ワークショップ、世界観を体験できる展示施設といった、ブランドへ深く関与する体験に参加したと回答しました。試用やテスター、街中の展示といった気軽な接点(70.2%)に加え、深い体験への参加も広がりをみせています。


高関与なブランド体験と帰国後の継続購入意向の関係では、アウトドア用品でプラス3.5pt、インテリアや家具、伝統工芸品、洋服でプラス2.7ptと、こだわりやライフスタイルを反映する商材で高い継続購入意向を示す傾向がみられました。一方でお菓子や食品などの消費財については、体験の深さにかかわらず継続購入意向が高い傾向を示しています。


訪日回数が3回以上と答えた人の割合は、韓国74.3%、タイ65.5%、米国64.6%、中国62.6%と4カ国で6割を超えました。韓国では6回以上の高頻度層が30.6%を占めたほか、インドでは初回訪日25.2%、6回以上18.0%がともに拡大するなど、再訪の形態が多様化しています。

旅行先の選定にも変化が生じており、韓国では「穴場」が15.5pt、「自然」が14.2pt前年から上昇しました。また、旅程の組み方において日本文化を目的に挙げる人が中国で6.8pt減、インドで9.0pt減となった一方、自分の興味関心で旅程を組む人は中国で6.2pt増、インドで5.3pt増となっています。SNSで見た場所を旅程に取り込む動きも韓国とタイで8.4pt増加しました。
地方誘客における食・自然の魅力と受け入れ環境の課題
訪日外国人が地方を選ぶ理由としては、「地域ならではの食や食材を楽しみたい」(41.2%)や「温泉や自然、景観を楽しみたい」(40.4%)が4割を超え、「日本の田舎暮らしや文化に触れたい」(32.0%)、「主要都市や定番観光地以外の新しい訪問先」(32.4%)、「混雑を避けて落ち着いて過ごしたい」(30.8%)が続きました。「アクセスのしやすさ」(29.3%)や「割引、クーポン」(20.0%)といった利便性を求める声は、地域固有の魅力に比べると低い割合にとどまっています。
地方旅行への不安や障壁としては、「現地で英語や自国語が通じるか不安」が29.3%で最も高く、「キャッシュレス決済やATM利用の不安」(23.2%)、「移動手段の少なさ」(20.9%)が挙がっており、言語や決済、移動といった受入環境の整備が地方誘客の課題とされています。
調査概要
- 調査名:5カ国インバウンド顧客購買意識調査2026
- 調査手法:インターネットリサーチ
- 調査地域:5カ国(中国・韓国・アメリカ・タイ・インド)
- 実施期間:中国は2026年3月14日〜24日及び6月25日〜30日、韓国とアメリカは2026年3月14日〜24日、タイは2026年3月17日〜25日、インドは2026年3月18日〜26日
- 調査対象:スクリーニング調査・本調査ともに男女20歳以上かつ1年以内に日本に旅行経験があると回答した人
- 回答数:各国200〜258人(性年齢での割り付けなし)
- ウェイトバック方法:全体は2024年度訪日客国別人口(JNTO)を用いてインバウンド顧客数に合わせてウェイトバック
- 調査主体:博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボ
- 調査委託先:QO株式会社(中国での調査実施は涉外調査許可を保有する調査パネルを活用)
本記事は株式会社博報堂の発表をもとに作成しています。
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