Craif、尿中マイクロRNAが−80℃で12か月間安定維持されることを確認
バイオAIスタートアップのCraif株式会社の研究チームは、尿中の細胞外小胞に含まれるマイクロRNAについて、尿検体を−80℃で長期間保存した後も量や発現プロファイルが安定して維持されることを明らかにしました。この研究成果は、2026年9月18日にSpringer Natureが発行する学術雑誌「Discover Applied Sciences」に掲載されました。
尿検体におけるマイクロRNAの長期保存安定性を検証
マイクロRNAの一部は、細胞から放出される細胞外小胞に内包されて血液や尿などの体液中に存在し、がんをはじめとする疾患の状態を反映するバイオマーカーとして注目されています。尿は採血を必要とせず身体への負担が少ない方法で繰り返し採取できる検体ですが、検査や研究に活用するには保存期間や凍結融解による影響を明らかにする必要がありました。
本研究では、健康成人7名から採取した同一の尿検体を、尿、尿中細胞外小胞(uEV)、RNAおよびcDNAの各形態で保存し、次世代シーケンシングを用いてmiRNAの量と発現プロファイルを経時的に評価しました。尿は−80℃で最長12か月、uEVとRNAは−80℃、cDNAは−20℃で最長3か月保存して検証が行われました。
各保存形態における安定性と凍結融解の影響

評価の結果、尿検体を−80℃で保存した場合、保存期間によるマイクロRNA量の明確な変化は認められず、個人ごとのmiRNA発現プロファイルが12か月にわたり維持されることが確認されました。
また、尿検体から調製したuEVおよびcDNAについても、保存期間によるマイクロRNA量の明確な変化はなく、発現プロファイルは3か月にわたり維持されました。一方、RNAの状態で保存した場合には一部のマイクロRNAで経時的な減少が認められ、特にGC(グアニン・シトシン)含量の低いマイクロRNAが影響を受けやすい可能性が示されています。
なお、尿、uEV、RNA、cDNAのいずれの形態においても、1回の凍結融解によるマイクロRNA量や全体的な発現プロファイルへの明確な変化は認められませんでした。
研究の臨床応用と効率化への期待
今回の研究により尿検体の長期保存安定性が確認されたことで、Craif株式会社が臨床研究で実施している複数検体の一括測定に対する科学的根拠が補強されました。収集した検体をまとめて解析できるようになることで、大規模研究の効率化や測定工程・コストの最適化、尿中miRNA検査の安定的な運用への貢献が期待されます。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の先進的医療機器・システム等開発プロジェクト(課題番号JP24he2302007)の支援を受けて実施されました。
論文情報および会社概要
発表された論文の詳細は以下の通りです。
- 掲載誌:Discover Applied Sciences
- タイトル:Systematic evaluation of microRNA stability during long term storage of urine
- 著者:Atsushi Satomura(1,2), Yoriko Ando(1), Motoki Mikami(1,2), Yuki Ichikawa(1,2)
- 所属:1. Craif Inc., Nagoya, Japan / 2. Institute of Innovation for Future Society, Nagoya University, Nagoya, Japan
- 公開日:2026年9月18日
- DOI:10.1007/s42452-026-09526-9
Craif株式会社の概要は以下の通りです。
- 社名:Craif株式会社(読み:クライフ、英語表記:Craif Inc.)
- 代表者:代表取締役 小野瀨 隆一
- 設立:2018年5月
- 資本金:1億円(2025年4月1日現在)
- 事業:がん領域を中心とした疾患の早期発見や個別化医療の実現に向けた次世代検査の研究・開発、自宅でかんたんがんリスク検査「マイシグナル®︎」の提供
- 本社:東京都新宿区新小川町8-30 THE PORTAL iidabashi B1F
- URL:https://craif.com/
本記事はCraif株式会社の発表をもとに作成されています。
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