京都フュージョニアリング、米Quaise社から深部地熱向けジャイロトロンを受注
京都フュージョニアリング株式会社は、米国の深部地熱開発企業であるQuaise Energy, Inc.より、ジャイロトロンシステム一式を受注した。本件は、同社にとってフュージョンエネルギー以外の用途における初のジャイロトロン受注となる。フュージョンエネルギー向けプラズマ加熱技術で培ってきた設計・製造・サプライチェーンの知見を、隣接する他のエネルギー分野へ展開する取り組みとなる。
地熱掘削への技術応用とNEDO事業の成果
Quaise Energy, Inc.(Quaise社)は、ジャイロトロンによって岩盤を溶融・蒸発させながら掘進する独自の掘削技術を開発しており、従来の機械式掘削では到達が困難な深度・高温領域である超臨界深部地熱へのアクセスを目指している。この中核装置となる高出力・長パルスのジャイロトロンとして、京都フュージョニアリング株式会社が選定された。
京都フュージョニアリング株式会社は、フュージョンエネルギーの実現に不可欠な基盤技術としてジャイロトロンを含むプラズマ加熱装置の開発を推進し、他産業への応用開発を行ってきた。2024年9月には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業」に採択され、深部地熱開発に適応する高出力・連続運転ジャイロトロンの開発に取り組んでおり、今回の受注はその知見を結実させる成果の一つとなる。

京都フュージョニアリング株式会社は、日本国内の拠点に加え、米国(オークリッジ、Kyoto Fusioneering America)、英国(カラム・キャンパス、Kyoto Fusioneering UK)、ドイツ(カールスルーエ、Kyoto Fusioneering Europe)、カナダ(チョークリバー、カナダ原子力研究所とのジョイントベンチャー Fusion Fuel Cycles Inc.)に拠点を構えている。
これまでに米国のDIII-D、Realta Fusion、Thea Energy、英国の英国原子力公社(UKAEA)、Tokamak Energy、ドイツの Max Planck Institutes 、チェコのIPP Prague、韓国の Korea Institute of Fusion Energyをはじめとする世界の主要プロジェクトや研究機関へ技術を供給しており、実績は約20件にのぼる。また、米国エネルギー省傘下のオークリッジ国立研究所、ロスアラモス国立研究所、サバンナリバー国立研究所、UKAEA、カールスルーエ工科大学、カナダ原子力研究所など約30の機関と共同研究を実施しており、約200社にのぼる日本国内のサプライチェーン企業との連携がこれらの実績を支えている。
国内外での次世代地熱開発への展開
京都フュージョニアリング株式会社は、本件を契機にジャイロトロン事業の顧客ポートフォリオを深部地熱分野やその他産業へと拡大していく方針だ。
日本は地熱資源量で世界第3位となる資源国である一方、深部・高温領域(超臨界深部地熱)は従来の機械式掘削技術では到達が難しく、手つかずの領域として残されてきた。同社はフュージョンエネルギー向けに培った技術を日本の次世代地熱開発に役立てる事業の可能性についても検討を進めている。国内では今後、経済産業省・NEDOのグリーンイノベーション基金において超臨界地熱・クローズドループ・EGS等を対象とした支援策が進められており、同社は培った知見を国内の次世代地熱開発への貢献にもつなげていく考えを示している。

両社の概要
- Quaise Energy, Inc.:2018年創業のマサチューセッツ工科大学発のスタートアップ企業。マサチューセッツ工科大学(MIT)における10年以上にわたる研究開発を経たミリ波掘削技術により、超高温地熱を中核的な電源へと発展させることを目指す。
- 京都フュージョニアリング株式会社:2019年設立の日本発のフュージョンエネルギープラントエンジニアリング企業。ジャイロトロンシステム、ブランケット技術、熱サイクル・燃料サイクルシステムなどの開発を進める。
本記事は京都フュージョニアリング株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



