TISIとISIT、4自治体で広域データ連携基盤の共同利用実証を実施
TISインテックグループのTISI株式会社と公益財団法人九州先端科学技術研究所(ISIT)は、オープンデータ活用を見据えた広域データ連携基盤の共同利用に関する実証実験を、4自治体(1県3市)の協力のもとで実施した。生成AIを用いて自治体ごとに異なるデータを共通データモデルへ自動変換・連携する仕組みなどを検証し、自治体や分野を越えたデータ連携の実現可能性を確認した。本実証の成果は、デジタル庁が2026年9月4日に公開した「エリアデータ連携基盤の共同利用ガイドブック第3.0版」に実装事例として掲載されている。
自治体のコストや人材課題を背景に広域連携を検証
地方自治体におけるオープンデータへの取り組み率は90%を超える一方で、データ連携基盤の導入・運用には継続的な費用負担や専門人材の確保が課題となっている。TISIが実施した自治体向け調査(有効回答67件)では、導入・維持コストなどの費用面を課題に挙げた自治体が77.6%に上り、ユースケース不足などの活用面と専門人材不足などの体制面を課題とした自治体がそれぞれ64.2%を占めた。
こうした課題に対応するため、2025年5月にオープンデータ利活用促進に向けた連携協定を締結していたTISIとISITは、2025年10月から2026年3月まで本実証を実施した。複数自治体によるシステム共同利用を通じた運用コスト削減やデータ形式標準化の促進、住民向けサービスの向上を目的に、TISIがニーズ調査・分析やサービス設計を担当し、ISITが共有型データ連携基盤「BODIK CityOS」の構築とアプリケーション開発を担った。
施設予約の一元化やAIカメラによる混雑可視化を実施
実証実験では、自治体業務や住民利便性に関わる具体的なユースケースとして3つの検証が行われた。
1つ目の実証では、自治体ごとに分断されていた施設予約システムを改修せず、4自治体の予約情報を自動収集した。国際標準に準拠したデータ形式への変換や9種類のステータス情報への整理を行い、AIを活用して21種類の活動種目のタグ付けや緯度経度情報のマッピングを実施した。これにより、約3ヶ月で4自治体の213施設、30日先までの45万件以上の予約データの一元管理を実現し、朝の収集から基盤登録までの処理を約24分で完了する運用サイクルを確立した。
2つ目の実証では、市立図書館1ヶ所においてAIカメラを用いて自習室と駐車場の混雑状況を可視化した。室内カメラ映像から1分ごとに人数をカウントし、駐車場は入出庫状況から駐車台数を推定した。映像データは集計後直ちに機器内から削除し、個人を特定できない数値データのみを送信する構成とした。機材の電気代は月額約100〜260円で、安価なSIMを活用して低コスト運用を図った。リアルタイムの混雑度をWebアプリで公開することで混雑緩和と職員の目視確認業務の自動化を確認したほか、蓄積データから金曜日や土日祝日の満車傾向などの利用特性を裏付けた。
生成AIとMCPを活用したデータ統合の効率化を検証
3つ目の実証では、生成AIとMCP(Model Context Protocol)を活用し、複数団体の基盤に分散するデータの差異を自動で吸収する機能を検証した。生成AIがデータ構造を分析して共通データ形式と変換辞書を自動生成する仕組みを構築し、実際の検索時には事前生成した変換辞書を用いることで、推論コストや回答の不安定さを抑える構成とした。
検証の結果、異なるシステム上にある人口データの同時検索・同一形式取得や、公共施設データの地図上への一括表示を確認し、データ統合における設計・開発などの初期作業工数を削減できる可能性が示された。
実証知見を「エリアデータ利活用サービス」へ反映
TISIは今後、本実証で得られたデータ形式の標準化や生成AIによる変換辞書作成、複数自治体での共同利用に関する知見を自社の「エリアデータ利活用サービス」へ順次反映する方針である。防災、観光、交通、公共施設運営などの分野におけるオープンデータ活用支援や、共同利用モデルによるシステム導入方式、伴走支援サービスの提供を進め、地域AX(AIトランスフォーメーション)の推進に貢献するとしている。
本実証の詳細は、ISITがWebサイトで公開している「FIWARE共同利用による広域データ連携基盤 実証実験実施報告書」およびデジタル庁の「エリアデータ連携基盤の共同利用ガイドブック第3.0版」にて公開されている。
本記事はTISI株式会社の発表をもとに作成。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



