尾道市立美術館で山本基の初となる全館回顧展が2026年9月から開催へ
塩を素材にしたインスタレーションで知られる作家の山本基による個展「しろきうみへ ─ 記憶は白く、海へと還る ─」が、2026年9月19日から11月15日まで尾道市立美術館で開催されます。作家の故郷である同館で、全館を使った回顧展が開かれるのは今回が初めてとなります。会場では約3トンの塩を使用し、作家がひとりで作品を描き上げます。
35年の歩みと震災作品の再構成
山本基は1994年に妹を、2016年に妻を亡くしており、大切な人を忘れないため、そして忘れゆく自らに抗うために線を描き続けてきました。記憶や時間といった見えないものを留める素材として塩を選んでいます。

本展では、金沢美術工芸大学に入学した1991年からの35年をたどります。大学時代の油彩をはじめ、代表作である塩の床のインスタレーション、近年の大型平面作品のほか、2024年の能登半島地震で倒壊した作品の塩をレジンに封じた新作までが、六つの展示室と展望ロビーに展示されます。能登半島地震で崩れた作品の再構成としては、2021年に珠洲市の保育所跡に制作され2024年元日の地震で倒壊した《記憶への回廊》の塩を拾い集め、レジンに封じた無数の欠片を暗い展示室内に約400個吊り下げます。この作品は会期後に奥能登へ戻る予定です。

公開制作や作品を海へ還すイベント
会期中には作家による公開制作や各種イベントが予定されています。開幕日の9月19日から22日までの9:00〜17:00には第4展示室で公開制作が行われ、床一面の作品を来館者の前でひとりで描き直すことなく描く様子が公開されます。また、9月19日の14:00〜15:00には2Fロビーで記念講演会「忘れないためにつくり続ける」が開催され、作家が塩を選ぶまでの経緯やつくり続けてきた理由を語ります。

9月20日・21日の10:00〜16:00には、2Fロビーにて能登半島地震で倒壊した作品の塩を用いてアクセサリーを作るワークショップ「記憶のかけらプロジェクト」(体験料1,000円)が実施されます。さらに最終日の11月15日15:30〜17:00には、2006年から世界各地で続けてきた「海に還るプロジェクト」として、来場者の手で作品を崩し、その塩を作家が育った尾道の海へ還すイベントも行われます。
周辺地域や関連施設での同時期展示
会期中には関連する展示も周辺で開催されます。岡山県玉野市のナイカイ塩業株式会社では、2026年10月3日から31日まで「瀬戸内産業芸術祭 2026」が開催され、製塩工場で塩のインスタレーションが展示されます(事前予約制、公開日時は会場ごとに異なる)。
また、尾道市内のVILLA WASAKU(小林和作旧居/尾道市長江2-18-21)では、10月31日から11月15日までの土日祝および11月4日の13:00〜17:00に「和作ウィーク 2026 しろきみちのありか」が開催されます。金屏風の作品展示のほか、短編ドキュメンタリー映画《REQUIEM IN SALT》の上映が行われます。
展覧会の開催概要
- 展覧会名:しろきうみへ ─ 記憶は白く、海へと還る ─
- 会期:2026年9月19日(土)〜11月15日(日)
- 開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで) ※10月17日は20:00まで開館
- 休館日:月曜日(9月21日・10月12日は開館、10月13日休館)
- 会場:尾道市立美術館(722-0032 広島県尾道市西土堂町17-19千光寺公園内)
- 観覧料:一般1,000円、学生600円、中学生以下無料
- 主催:尾道市立美術館、中国新聞備後本社
- 後援:広島県、尾道エフエム放送、ちゅピCOM、エフエムふくやま
- 企画協力:YUKIKOMIZUTANI
- 助成:公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団
- 協力:AIR Onomichi、NPO法人尾道空き家再生プロジェクト、尾道市立大学、記憶のかけらプロジェクト実行委員会、ナイカイ塩業株式会社
本記事は尾道市立美術館および中国新聞備後本社の発表をもとに作成しています。
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