燈が設備レイアウトなどを最適化するAIエージェントSpicaの提供を開始
東京大学発AIスタートアップの燈株式会社は、建設業や製造業などの現場において、設備レイアウトや生産計画、人員配置などを最適化するAIエージェント「Spica(スピカ)」の提供を開始しました。

同サービスは現在、半導体工場などの建設計画で導入されており、工場の設備レイアウトの初期検討期間が1ヶ月から1日に短縮されるという実証結果も出ています。現場の熟練者が持つ暗黙知の判断基準を引き出して言語化し、ノウハウを組織の資産として継承することを目指しています。
開発の背景にあるものづくりの3つの変化
開発の背景には、国内のものづくり現場が直面している「働き手の減少」「熟練者の引退と技能継承」「国内の工場投資の拡大」という3つの変化があります。
現状のまま推移した場合、2040年には日本全体で約1,100万人の働き手が不足し、建設職では必要な人手の22.0%が不足すると試算されています(リクルートワークス研究所より)。製造業の就業者数は2024年の1,046万人から2025年には1,033万人へ減少し、34歳以下の若年層は258万人にとどまる見込みです(「2026年版ものづくり白書」より)。
また、建設業では就業者の約4割を55歳以上が占め、29歳以下は約1割にとどまります。製造業でも技能継承がうまくいっている、またはややうまくいっていると回答した企業は合わせて33.3%にとどまり、85.4%が将来の技能継承に不安を抱えています。さらに、政府の「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づき大型の設備投資が進むなか、工場の早期稼働と国際競争力確保に向け、熟練者の暗黙知の言語化と継承が業界全体の課題となっています。
判断基準を引き出し最適解を導く仕組み

従来の最適化ツールでは人があらかじめ条件を定義する必要があり、言語化されていない暗黙知の反映が困難でした。これに対しSpicaは、AIの提案と人の修正・承認を繰り返して判断基準を明らかにしていく手法をとります。
具体的には、提供されたデータから「配置できる区画」「設備同士の干渉」「柱の回避」などの制約条件を整理し、生産量が最大となるレイアウト案を提示します。続いて「裏面工程は北棟にまとめる」「斜めの壁に面した区画には生産装置を置かない」といった顧客からのフィードバックを取り入れ、制約条件を新たに再提案して承認を得ます。メタヒューリスティクスなどを用いることで、再検討を短時間で行うことが可能です。
導入によるスピード向上と最適化効果


Spicaの導入により、検討作業の効率化と最適化の質において効果が示されています。
配置案や計画案1件の作成時間は従来の1ヶ月から1日へと短縮され、一度に比較できる案の数は3案から100案に増加します。また、条件変更から再検討までの時間は従来の2週間から半日へと短縮されます。最適化の結果としては、従来比で設備投資額の5%削減、稼働率の7%向上が見込まれるとしています。
同社執行役員 DX Solution事業本部 VPoEの丸尾 恭四郎氏は、熟練者と共に課題の本質を見極めて解決へ導くエンジニアリングの過程そのものをプロダクト化したと説明しています。

燈株式会社の概要
- 会社名:燈株式会社(Akari Inc.)
- 所在地:東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ21階
- 代表者:代表取締役社長 兼 CEO 野呂侑希
- 設立:2021年2月
- ホームページ:https://akariinc.co.jp
本記事は燈株式会社の発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



