Okta Japan、AI導入と認証基盤に関する意識調査「Customer Identity Trends Report 2026」を発表
アイデンティティ管理サービスを提供するOkta, Inc.の日本法人であるOkta Japan株式会社は、世界7カ国の消費者5,250名と開発者・経営層910名の計6,160名を対象に実施した調査「Customer Identity Trends Report 2026」の結果を発表しました。
調査では、AIエージェントを活用したデジタルカスタマージャーニーの変革が進む一方で、従来の認証インフラが限界を迎え、開発遅延や過剰な権限付与などのセキュリティリスクを引き起こしている状況が明らかになりました。また、日本企業ではエンジニア工数の15%以上が老朽基盤の保守に割かれており、顧客アイデンティティ(CIAM)基盤の再構築が求められている実態が示されています。
AI導入が進む一方で生じる開発遅延と認識のズレ
調査対象となったグローバル主要企業の96%がカスタマージャーニーへのAI統合を予定し、59%がユーザーに代わってアクションを実行または外部APIを自律的に呼び出す「AIエージェント」を本番運用または開発中としています。しかし、目標速度通りに提供できている企業は20.3%にとどまり、約80%の組織がスケジュール遅延に直面しています。
遅延理由として、経営層(59.0%)と開発者層(34.6%)の双方が「コンプライアンスやガバナンス」を1位に挙げました。一方で、認証基盤の未対応を理由とした経営層は9.0%であるのに対し、開発者層では17.8%が「既存のアイデンティティおよび認証基盤がAIエージェントに対応できないこと」を直接の遅延理由として挙げています。
日本においては、73%の企業がAI機能を推進中(本番運用29%、開発中44%)ですが、目標速度で提供できているのは28%未満でした。開発が遅れている企業(AI推進企業の72%)のうち、約4社に1社(23%)が「アイデンティティ基盤の未対応」をボトルネックに挙げています。さらにAI開発に未着手の日本企業(27%)では、約60%が「古いアイデンティティインフラ」を着手できない最大理由と回答しました。
自律型AIエージェントの導入に伴い、従来の人間向け認証では対応できない「過剰な権限付与」「被害範囲の拡大」「行動コンテキストの欠如」「資格情報の拡散」という4つの脆弱性が指摘されています。
AI機能を開発・構築中の組織で、一時的かつ厳格に制限された資格情報をAIエージェントに付与している割合は22.4%でした。共有サービスアカウントの利用(17.4%)、ユーザー権限のそのままの継承(11.5%)、コード内への資格情報のハードコード(6.4%)などの慣行も見られます。
また、日本のエンジニアチームは工数の平均15%以上を顧客アイデンティティ(CIAM)の構築・維持・運用に費やしており、42.7%の企業が工数の16〜30%を消費している実態が判明しました。
AIに対する消費者の不安と求められる透明性
グローバル消費者の52%が「アプリやWebサイトでのAIの進化スピードが速すぎる」と感じており、意思決定やアクションを「完全に自動」でAIエージェントに委ねたいとする消費者は6%にとどまります。さらに、価格やレビューなどの重要情報を見る前のアカウント作成要求に対しては、74%が離脱しています。

AIエージェント利用のトリガーとして、権限レベルの設定機能(36%)、操作の承認通知(34%)、必要に応じた人間への問合せ(34%)などが挙げられました。実行したアクションを取り消せる(Undo)機能が担保されている場合、消費者の大部分がAIへの委任を許容することも分かっています。
日本の消費者は「AIエージェントを使わない」と回答した割合が37%(グローバル平均23%)にのぼりました。安心・信頼してAIを利用するための要素として「公平性・プライバシー・セキュリティを守る倫理的ガイドラインや第三者基準」を挙げた割合は、グローバル平均(23%)に対して日本は世界最多の37%に達しています。
専門CIAMプラットフォームの活用効果と推奨事項
外部の専門CIAMプラットフォームのみを利用する組織は、「AI機能および自律型AIエージェント」を本番運用している割合が34.4%(他手法採用企業は22.3%)、プロジェクトが目標速度通り進んでいる割合が28.3%(他手法採用企業は18.1%)となっています。また、認証時の摩擦による顧客利用頻度への重大な悪影響は、レガシーシステム運用企業で39.5%、自社構築企業で30.3%であるのに対し、外部プラットフォーム利用企業では13.9%に抑えられています。
レポートでは、AIエージェント時代における信頼構築のアクションとして次の3点を提示しています。
- 「利便性またはセキュリティ」という従来型のトレードオフ思考を脱却する
- 人間とAIエージェントを区別したアイデンティティモデルを構築する
- ユーザーに透明性とコントロール権を提供し「信頼のギャップ」を埋める
調査および企業の概要
本調査は2026年7月から8月にかけて実施されました。概要は以下の通りです。
- 消費者調査(Statista社協力): 世界7カ国(日本、米国、カナダ、英国、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド)の消費者、有効回答数 計5,250名(各国750名)
- 開発者・経営層調査(Rep Data社協力): 4つの主要業界(ヘルスケア、金融サービス、小売、通信)の開発者および経営層を対象とした二重盲検調査、有効回答数 計910名(開発者 556名、経営層 354名)
- 地域別内訳: 米国(22.3%)、英国(22.2%)、ドイツ(16.8%)、カナダ(16.5%)、オーストラリア・ニュージーランド(11.2%)、日本(11.0% / 約100名)
Okta(URL: https://www.okta.com/ja-jp/ )は、アイデンティティを保護することでテクノロジーの安全な利用を支援するサービスを展開しています。
本記事はOkta Japan株式会社の発表をもとに作成されています。
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