JC-STARとEUサイバーレジリエンス法の比較分析へ JBCEと欧州側が覚書締結
経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、日本のセキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)と欧州連合(EU)のサイバーレジリエンス法(CRA)の技術的比較に向けた協力が進展したと発表しました。在欧日系ビジネス協議会(JBCE)とEUの資金拠出を受けたStandICT.eu事務局が協力覚書(MoU)に署名したことによるものです。今後、経済産業省とIPAは欧州の専門家らと連携し、両制度や具体的なセキュリティ要件の比較・分析を本格化させます。
JBCEとStandICT.euが覚書に署名 制度比較を本格化へ
2026年10月26日、ベルギー王国のブリュッセルにおいて、JBCEとStandICT.EUとの間で協力覚書「日EU間のサイバーセキュリティ分野における制度及び標準化連携」への署名がオンラインで行われました。
この署名は、JBCEとStandICT.euおよびCyberstand.EUが運営する「CRA・JC-STAR技術ワーキンググループ(TWG)」での協力を強化するためのものです。StandICT.eu事務局は、EUの「ホライズン・ヨーロッパ」の枠組の下で資金拠出を受けたデジタル技術規格のプロジェクトです。
覚書に基づき、JBCEとStandICT.euは両制度のセキュリティ要件の比較や類似点・相違点の特定を支援し、専門家間の対話促進や継続的な交流を後押しします。ワーキンググループには経済産業省とIPAも参加し、それぞれの法域の規制上の自律性を尊重しながら比較を進め、日本企業が国内外の制度に効率的に対応できる環境の整備を目指します。
日EUにおけるIoTセキュリティ制度の背景
ルーターやネットワークカメラ、センサーなどのIoT製品が普及する一方、脆弱性を悪用したサイバー攻撃の増加を受けて各地域で制度整備が進んでいます。
日本では、経済産業省が2024年8月に公表した「IoT製品に対するセキュリティ適合性評価制度構築方針」に基づき、2025年3月からIPAがJC-STARの運用を開始しました。
一方のEUでは、2024年12月にCRAが発効しており、2026年9月からは脆弱性及びインシデント報告義務の適用が始まっています。さらに、2027年12月からはデジタル要素を含む製品に対する主要なサイバーセキュリティ要件が適用される予定となっています。
国際連携とこれまでのワークショップ実績
経済産業省とIPAは、諸外国とのIoT製品セキュリティ対策における連携を進めています。JC-STARにおいては、2026年1月より英国PSTI法との相互承認、同年6月にはシンガポールCLS(サイバーセキュリティ・ラベリング・スキーム)との相互承認を開始しました。また、国際会議GCLI(グローバル・サイバーセキュリティ・ラベリング・イニシアティブ)にも参画しています。
EUとは、EUから資金拠出を受けた国際デジタル標準化協力プロジェクト「INSTAR」(現在はStandICT.euにプロジェクト承継)などを通じ、継続して比較・分析のワークショップを重ねてきました。開催実績は以下の通りです。
- INSTAR主催
- 第1回:2025年11月10日(オンライン)
- 第2回:2026年1月27日(ブリュッセル、ハイブリッド)
- 第3回:2026年6月9日(オンライン)
- StandICT.eu主催
- 第1回:2026年9月14日(オンライン)
このほか、同枠組みにおいて日本と欧州のサイバーセキュリティ専門家による継続的な意見交換が実施されています。
今後の取組方針
日本政府としては、設計段階からセキュリティ対策を考慮したIoT製品が広まる仕組み作りに向けた政策的取組を継続する方針です。類似制度を持つ諸外国との協力に向けた情報共有を進め、日本企業の国際的な制度対応の円滑化と、IoT製品のグローバルなサイバーセキュリティ対策水準の向上に貢献していくとしています。
本記事は経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の発表をもとに作成しました。
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