山形県がVJTM2026に出展し10の国・地域と商談 地方インバウンドの課題整理
山形県とやまがたインバウンド協議会は、2026年9月24日(木)〜26日(土)に東京ビッグサイトで開催された日本政府観光局(JNTO)主催のインバウンド商談会「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2026(VJTM2026)」に出展した。やまがたインバウンド協議会の事務局を務める山形県米沢市のプラットヨネザワ株式会社と県内の旅行事業者3社が参加し、欧米豪・アジア10の国・地域の旅行会社と商談を実施した。出展に伴い、商談の記録から見えてきた海外旅行会社が地方に求める要素や、受入側の課題などが整理された。
欧米豪やアジア10の国・地域の旅行会社と商談
山形県は、観光庁が全国14地域を選定した「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」のモデル観光地の一つに選ばれている。やまがたインバウンド協議会が策定したマスタープランでは、「山が私たちの心と体を形づくる-山から始まる多様な形・人・物語-」をコアバリューに据え、「祈りの形(山・信仰・精神文化)」「恵みの形(山・自然からの授かりもの)」「気質の形(山・自然由来の上質なもの・こと)」の3つを軸として、米国・英国・フランスを主要ターゲット市場に商品の造成と販路開拓を進めている。今回の出展は、造成した商品を海外の旅行会社へ提案する販売フェーズの取り組みとなる。
東京都江東区の東京ビッグサイト 西1ホールで開催されたセラー商談会には、山新観光株式会社、The Hidden Japan合同会社、庄交コーポレーション株式会社(庄交トラベル)の県内旅行事業者3社が商談担当として参加した。3日間でイタリア、米国、オランダ、英国、フランス、ドイツ、スペイン、カナダ、オーストラリア、韓国の合計10の国・地域と商談を行ったほか、山形県が日本政府観光局(JNTO)の海外事務所と各市場の最新傾向について意見交換を行った。
商談を通じて得られた地方観光への示唆
商談の記録からは、地方観光に関する複数の示唆が得られたとしている。東京・京都・大阪のゴールデンルートの混雑を背景に、市場を問わず地方や地域の人との出会いを求める声があり、米国市場に関する調査ではラグジュアリー層の約95%が「あまり知られていない目的地」を志向しているという。
また、着物や刀鍛冶、草履の職人工房、出羽三山の宿坊・山伏修行、和牛農場、酒蔵、漁業体験などは高く評価されたものの、評価されたのは体験そのものではなく歴史や担い手といった背景の物語とつながった点であると分析している。オランダの旅行会社からは「体験が本物なら、宿の格が多少下がっても販売できる」との声も寄せられた。
さらに、高付加価値層の実像について、英国市場では「日本滞在中に200万円程度を使う層」と捉えるのが実態に近いという助言があった。平均18泊の長期滞在をする個人旅行客や、年間1,000名を超える生徒を送る教育旅行、健康な50〜70代のパッケージ層など、滞在日数や人数で消費を生む層が地方にとって現実的な標的であるとしている。旅程に関しては、山形単独ではなく仙台・会津若松・新潟とつなぐ周遊ルートに2〜4日を組み込む提案が求められ、海外旅行会社の担当者に向けては英語の営業資料や下見視察(ファムトリップ)を通じた情報提供が必要とされている。
市場ごとに異なる需要と課題
商談記録をもとに事務局が整理した市場別の傾向によると、国や地域によって関心や販売上の制約が異なることが示された。なお、これは個社の見解を市場全体の傾向として一般化したものではないとしている。
- イタリア:2〜4名の個人旅行(10泊〜2週間)が中心で食や日本酒、職人工房に関心。移動は鉄道が中心で専用車かレンタカーが前提となる。
- オランダ:平均18泊のミドル〜ハイエンド個人旅行などで出羽三山や山寺のウォーキングに関心。ガイド不要の層もおり、洋ベッドや客室風呂の宿情報が不足している。
- 米国:ラグジュアリー層や10〜40名の教育旅行があり、山伏修行やヨガ、地域参加型体験に関心。ラグジュアリーは4つ星以上や専用車が前提で、教育旅行は安全配慮と価格が重視される。
- 英国:B2B卸売が中心でファームステイや周遊に関心。エージェントへの認知向上やエリア別窓口が求められる。
- フランス:地方志向で職人や農場など歴史から学べる体験に関心。個別の視察を好む傾向がある。
- ドイツ:自然体験や宿坊に関心があり、英語スタッフ同乗や保険対応が整った体験を評価する。
- スペイン:大手旅行会社による新規造成の動きがあり山伏修行などに関心。スペイン語ガイドの少なさが課題となる。
- カナダ・豪州:50〜70代や高単価家族旅行でパッケージや山寺・庄内の宿に関心。豪州の東北販売期は5〜6月と9〜12月で、冬季の受け入れ体制が課題となる。
- 韓国:20〜30名のバス団体向けに温泉旅館や貸切列車に関心がある一方、団体向け航空座席の確保難から商品造成が停滞している。
受け入れ体制の整備と今後の展開
商談を通じて、ベッドや客室風呂を備えた宿泊施設の情報不足、周遊に不可欠な専用車の手配、地域を語れる英語ガイドの不足といった、東北の地方部に共通する課題が浮き彫りとなった。これらはマスタープランが掲げる「ヒト(ガイド)」「ヤド(宿泊)」「アシ(二次交通)」の課題に直結している。
プラットヨネザワ株式会社は、地域事業者や関係機関とともにこれらの課題に対応し、海外の旅行会社が旅程に組み込みやすい情報整備や受け入れ体制の見直しを進める。また、商談会への事前準備や体制づくりを重ね、今後も欧米とアジアの両市場に向けて山形県の高付加価値な体験商品の国際販売を本格化していくとしている。
- 所在地:〒992-0037 山形県米沢市本町2丁目1-12 マチスタヂオ2F
- 代表者:代表取締役CEO 宮嶌 浩聡
- 設立:2022年4月20日
- 事業内容:観光地域づくり(観光庁登録 地域DMO・登録番号 第30119号)、地域産業のブランディング・プロデュース、イベント企画・運営(360°よねざわオープンファクトリー事務局、よねざわ戦国花火大会 ほか)
- URL:https://www.plat-yonezawa.jp/
本記事はプラットヨネザワ株式会社の発表をもとに作成されています。
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