スペースデータ、港湾の運用基盤PORT OPERATIONSを開発
株式会社スペースデータは、港湾物流の運用を船や岸壁、荷役、ゲート、トレーラーの動きごと空間基盤に再現する港湾の運用基盤「PORT OPERATIONS」を開発しました。強風や濃霧、システム障害などで荷役や入出港が停止した際に、影響を抑えて早期に通常の運用へ戻すための判断を支援します。国内の大規模なコンテナターミナルを想定しており、同社のシミュレーション基盤「SpaceBrain(スペースブレイン)」の技術を用いて構築されています。
港湾物流における課題と開発の背景
日本の貿易は重量ベースで99%以上を海上輸送が担っており、なかでもコンテナターミナルは生活と産業を支える物資の積み下ろしが集中する物流の要となっています。

一方で、港湾の運用は強風や濃霧といった気象条件や、システムの障害による停止を避けることができません。荷役や入出港が止まると、沖で待つ船やゲート前に並ぶトレーラーの列が時間とともに伸び、次の寄港地や陸上の物流にも影響が広がります。そのため、停止後にどの船をどの岸壁で、どの順番で扱えば影響を最小限に抑えられるかを事前に検討し、関係者間で共有しておくことが求められていました。

現場状況の集約や影響試算を担う3つの機能
PORT OPERATIONSは、主に以下の3つの機能を備えています。
- 統合運行モニターで、現場の状況を一つの画面に集める
船ごとの着岸岸壁、荷役の進み具合、出港の見込みと遅れを一覧で表示し、港湾の空間基盤上で強風により停止したクレーンやゲート前のトレーラーの列、沖で待つ船を場所ごとに表示します。さらに、ゲートの搬入予約、コンテナ番号の自動読み取り、冷凍コンテナの温度、危険物、気象センサーなどの監視情報も同一画面に並べ、ターミナルの運営者や荷役・ゲートの担当者が部門を越えて状況認識を共有できるようにします。
- 過去の悪天候・障害を再現し、対策の効果を数字で比べる
強風・濃霧・システム障害の3つのケースについて、港湾の運用規程や報道で確認した経過をもとに、沖待ちの船やトレーラーの待機列の推移を時間経過に沿って再現します。シミュレーションの条件において、対策を取らなかった場合と取った場合を比較した結果は以下の通りです。
- 強風:荷役の前倒しと隣り合うターミナル間での岸壁の融通により、沖待ちの延べ時間(沖で待つ船の隻数と待ち時間を掛け合わせた値)が45.3隻・時から23.9隻・時に、出港の遅れ(平均)が5.1時間から3.2時間に短縮
- システム障害:手作業での受付と搬入予約の振り替えにより、ゲート前で待つトレーラーの最大台数が1,200台から621台に減少
- 濃霧:霧が晴れたあとに航路が混み合うため、岸壁側の対策だけでは効果が限られる(沖待ちの延べ時間22.7隻・時から21.6隻・時)ことも確認
- クレーン故障や停電などの事象を起こし、影響を試算する
クレーン故障、停電、ゲートのシステム障害、本船の遅れ、航路の閉鎖、危険物の漏えい、侵入検知の7種類の事象を、指定した岸壁と時刻に発生させ、平時と比べて出港が遅れる船やゲート前の待ち状況の変化を算出します。7種類をまとめて比較することで、優先して備えるべき事象や発生時の初動手順の検討に活用できます。
交通・物流拠点における共通運用基盤としての展開
本システムは、株式会社スペースデータが先に公開した空港オペレーションのシステムと同一の基盤上に構築されています。同社は、空港と港湾という停止が許されない交通・物流の拠点で共通して利用できる運用基盤として、ターミナルの運営システムや気象観測データとの接続、実運用データを用いた検証を港湾の運営者や物流事業者とともに進め、港湾物流のレジリエンス向上に貢献していく方針です。
株式会社スペースデータの概要
株式会社スペースデータは、代表取締役社長を佐藤航陽が務めるテクノロジースタートアップです。
- 所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
- 資本金:15億1300万円
- 事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
- 公式サイト:https://spacedata.jp
本記事は株式会社スペースデータの発表をもとに作成されています。
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