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MiZ、水素医療応用の研究成果を整理 安全な低濃度水素吸入のあり方を提言

神奈川県鎌倉市のMiZ株式会社は、慶應義塾大学およびカリフォルニア大学バークレー校の研究者らとの共同研究を通じて発表してきた、分子状水素(H₂)に関する3報の総説・論考の研究成果を整理した。同社は体内での到達性、疾患に共通する作用点、医療応用の可能性という3つの視点からこれまでの研究をまとめるとともに、Ichikawa et al. (2026) の検証に基づく安全な低濃度水素吸入のあり方を提言している。

分子状水素の医療応用と未病への可能性

発表された総説のうち、Hirano et al. (2020, Clean Technologies 2(4):529–541, DOI: 10.3390/cleantechnol2040033) では、作用機序と供給技術の両面から水素の医療応用の可能性が総合的に検討された。分子状水素(H₂)は細胞内に拡散し、ヒドロキシルラジカル(•OH)と反応して水(H₂ + 2•OH → 2H₂O)を生成する選択的抗酸化作用が提唱されており、酸化ストレスや炎症が関与する幅広い疾患への応用可能性が整理されている。

また、Yamamoto et al. (2021, International Journal of Molecular Sciences 22(13):7211, DOI: 10.3390/ijms22137211) では、症状が現れる前の「未病」段階への応用可能性が論じられた。ミトコンドリア由来の活性酸素の増加やミトコンドリアDNAの酸化損傷、NLRP3インフラマソームの活性化を介した慢性炎症という病態形成の共通過程に対し、分子状水素(H₂)が働きかけて発症や進行を抑制する可能性について、糖尿病や慢性腎臓病、神経変性疾患などを例に挙げて提示している。

疾患横断的な作用機序と研究を貫く視点

Hirano et al. (2023, Medical Gas Research 13(2):89-91, DOI:10.4103/2045-9912.344982) では、特定分子標的を狙う従来の治療を「ライフル銃」、多様な疾患の背景にある酸化ストレスや慢性炎症に働きかける H₂ を「機関銃」に例える概念枠組みが提示された。

これら3報には、小さな H₂ 分子が細胞内へ拡散する「到達性」、多様な疾患に関わる酸化ストレスと慢性炎症に着目する「共通作用点」、疾患への介入に加え未病段階からの保護を目指す「応用の広がり」という3つの共通した視点があるとしている。書籍『酸化ストレスと医学(第3版)』(診断と治療社)に示されるように、脳神経疾患や心疾患、糖尿病、自己免疫疾患など多様な疾患で酸化ストレスの関与が論じられており、臓器や疾患の枠を超えた予防や改善の研究課題として位置付けられている。

高濃度水素吸入器のリスクと事故事例の検証

安全性に関しては、Ichikawa et al. (2026, IJRSM 37(3):425-431) において、装置出力濃度 67〜99.99 体積% の高濃度水素吸入器による人体内水素爆発事故が検証され、低濃度水素吸入への転換が提言されている。MiZ株式会社と慶應義塾大学の研究者らによる着火実験では、市販の高濃度水素吸入器 3 機種すべてで、試験条件下において鼻カニューラの破裂と本体破損を伴う爆発が確認され、100% 純水素発生機や毎分 60 mL の少量機器でも爆発が成立したという。

消費者庁 事故情報データバンクシステムにも、装置出力濃度が 67~100 体積% の機器使用中に発生した事故が複数報告されている。

  • 顔面複雑骨折(2025年2月、エステ店、事案No.508163)https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/detail/508163?kind=1&menu=nolink
  • 内臓組織破裂(2024年10月、自宅、事案No.496203)https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/detail/496203?kind=1&menu=nolink
  • 気管支穿孔・大量出血(2024年9月、自宅、事案No.496928)https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/detail/496928?kind=1&menu=nolink
  • 顔面内骨折(2024年1月、自宅、事案No.478324)https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/detail/478324?kind=1&menu=nolink
  • 装置蓋飛散による耳鳴り(2016年2月、事案No.264488)https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/detail/264488?kind=1&menu=nolink
  • 装置破裂による聴力低下(2015年1月、事案No.248208)https://www.jikojoho.caa.go.jp/ai-national/accident/detail/248208?kind=1&menu=nolink

さらに、神奈川県海老名総合病院救命救急センターの 2024 年論文でも、温熱療法と水素吸入の併用中に肺胞を中心とした肺挫傷(吸入燃焼性肺損傷)に至った事例が報告されている。

安全基準となる吸入環境実証値「10体積%」の考え方

MiZ株式会社は、2015 年以降 11 年で高濃度水素吸入器の爆発危険性と低濃度水素発生技術について 4 本の査読論文(Kurokawa et al., 2015, 2019; Ichikawa et al., 2023, 2026)を発表してきた。同社は吸入環境を想定した実証的検討に基づき、日常環境下で水素濃度が 10 体積% を超えると爆発の危険性があるとし、装置出力濃度を吸入環境実証値 10 体積% 以下に保つ設計を提唱している。

Coward & Jones (1952) が U.S. Bureau of Mines Bulletin 503 で報告した古典的爆発下限界(LFL)4 体積% は、1 気圧・室温の閉鎖垂直管内における密閉系シナリオの理論最小値である。これに対し、水素吸入環境は大気中への連続放出と拡散を伴う開放系であり、空間条件や気体の流動状態が異なるため、実証値 10 体積% を基準にすることが妥当であると同社は説明している。また、出力が 100% 純水素であっても外気と混ざる過程で爆発範囲(10 ~ 75%)を通過する層が生じるため、装置出力濃度そのものを抑える本質的安全設計が必要とされている。

会社概要

  • 商号:MiZ株式会社
  • 所在地:〒247-0056 神奈川県鎌倉市大船2丁目19番15号
  • 電話番号:0467-53-7511
  • 公式サイト:https://e-miz.co.jp/

本記事はMiZ株式会社の発表および消費者庁 事故情報データバンクシステムの公開情報をもとに作成されています。

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