NTT東日本と横須賀市、災害対策本部における生成AIの意思決定支援を実証へ
NTT東日本と神奈川県横須賀市は、災害対策本部業務における職員の意思決定を生成AIが支援する効果を検証する実証実験を、2026年8月31日に開始する。第一弾として同日、横須賀市危機管理課の職員が参加する共同ワークショップを実施し、AI支援の有無による対応の違いを比較する。職員の災害対応経験と支援効果の関係も確認し、生成AIが職員の判断や経験差をどこまで補完できるかを検証する方針だ。
取り組みの背景と目的
発災直後の災害対策本部には、被害状況や避難所の状況、物資・人員などの情報が短時間で集中するため、担当職員には優先順位や関係機関との連携方針を迅速かつ的確に判断することが求められる。一方で、膨大な情報処理による判断の遅れや経験の浅い職員の判断の難しさ、ベテラン職員の経験知の継承といった点が自治体共通の課題となっている。
NTT東日本と横須賀市は、2025年5月に三浦半島4市1町(横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町)と締結した「災害に強い地域づくりに関する広域防災連携協定」に基づき、防災対応力の向上に取り組んできた。三方を海に囲まれ交通網が限られる半島地域のリスクを踏まえ、生成AIの有用性と課題を明らかにし、自治体の実情に即した意思決定支援のあり方を検討する。
実証ワークショップの概要
ワークショップでは、三浦半島断層群地震の発災直後を想定したシナリオを用い、横須賀市危機管理課の職員が災害対策本部での対応判断を行う。
生成AIには横須賀市地域防災計画と、東京大学生産技術研究所附属災害対策トレーニングセンター(DMTC)副センター長の沼田宗純准教授の知見をもとに災害対策業務を8分野47種に体系化した実務ガイド『災害対応オペレーションBOOK47』を参照させる。そのうえで、対応の優先順位や連携先候補、対応案を提示させる。
参加職員は同一シナリオに対してAI支援なしと支援ありの双方で対応し、以下の観点から結果を比較する。
- 処理速度:1件あたりの回答所要時間
- 判断精度:対応先・対応内容の妥当性
- 対応の網羅性:複数機関への同時展開の適切さ
実証における両者の主な役割
本実証において、横須賀市とNTT東日本(防災研究所)はそれぞれ以下の役割を担う。
横須賀市の役割
- 災害対策本部室の実証フィールドとしての提供
- 危機管理課職員の実証への参加
- 実際の災害対応を想定したシナリオ内容の確認および助言
- 地域防災計画や災害対応業務に基づく実務面からの検証
- 実運用に向けた課題および改善点の整理
NTT東日本の役割
- 実証の企画および運営
- 生成AIアプリの構築
- 地域防災計画および実務ガイドを生成AIが参照する環境の構築
- 生成AIによる支援の有無を条件とした処理速度や精度などの比較・評価
- 災害対策本部における生成AI活用の有用性と課題の整理
今後の展開
両者は実証を通じて得られた知見を踏まえ、生成AIが職員の判断や経験差をどのように補完し得るかを引き続き検証する。また、災害対応人材の不足や経験知の継承といった課題を見据え、三浦半島地域における防災対応力の向上や関係機関との連携強化に向けた活用可能性を検討していくとしている。
本記事はNTT東日本株式会社の発表をもとに作成。
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