Spiral CapitalがCPE事業を開始 クラフティア等と計300億円
独立系VCのSpiral Capitalグループ(以下「Spiral」)は、グロース・バイアウト領域に参入し、事業会社と連携してグロース・バイアウトに取り組むCPE(コーポレートプライベートエクイティ)事業を開始しました。第一歩として、株式会社クラフティアおよびセイノーホールディングス株式会社とそれぞれ組成した2ファンド(計300億円)を皮切りに展開します。これにあわせ、グローバルPEファンドのCVC Capital Partnersで17年間にわたりバイアウト投資に携わった小原正憲が、CPE事業責任者に就任しました。
東京証券取引所によるグロース市場の上場維持基準の見直し(2030年以降、上場から5年経過後に時価総額100億円以上)を受け、成長企業の資本政策は転換点を迎えています。未上場スタートアップでは新規上場のハードルが高まり、グロース市場へのIPO社数は2024年の64社から2025年には41社に減少(EY新日本有限責任監査法人調べ)しました。一方で、スタートアップのM&A(被買収・事業譲渡)は2024年に254件と2015年以降で最多(金融庁「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」資料、原典:スピーダ スタートアップ情報リサーチ)となり、VC投資先を受け止める担い手が求められています。
上場企業においても、グロース市場で時価総額100億円に満たない企業は約370社と市場全体の約6割にのぼり(日本経済新聞データ)、非公開化の件数も2022年の7件から2025年には17件に増加(日本取引所グループ公表資料をもとに同社集計)するなど、成長を描き直すための非公開化ニーズが高まっています。国内ではVCファンド出資者に占める事業法人の比率が25.1%と米国(9.1%)の約2.8倍に達し、事業会社への期待が集まる一方、スタートアップ案件に精通した人材不足や買収後の統合(PMI)の難しさから直接買収の実行に踏み切れないケースも多く、統合や事業成長まで伴走する担い手が限られている状況がありました。

事業会社と連携するCPE事業の仕組みと特徴
Spiralが展開するCPEは、事業会社と投資先の間に入り、最適なPMIを実現する枠組みです。事業会社をLP(有限責任組合員)とするファンドを組成し、Spiral Innovation Partners(以下「SIP」)がGP(無限責任組合員)として、案件開拓から投資実行、事業会社とのPMIまでを主導する「二人組合」と同様のストラクチャーを採用します。
投資戦略は成長企業へのグロース・バイアウト投資を軸とし、事業承継やカーブアウトなどの伝統的なバイアウト、上場企業を含む資本政策への対応、将来のM&Aを視野に入れたマイノリティ出資にも案件に応じて対応します。投資後3〜5年を目安に、事業会社への売却、スイングバイIPO、第三者への売却など最適な出口を設計します。事業会社はファンドを通じて協業を進めながら本体への取り込みを判断できるため、直接買収に比べリスクを抑えながら戦略リターンと財務リターンの両立を目指せます。
CPEの特徴として、VCとして10年・約200社のテクノロジー企業を支援してきた知見を活かした「VCならではのバイアウト」、CVCで築いた関係を土台とする「事業会社との深い協働」、そしてCVCからCPEでの連結子会社化まで一貫して支援する「CVCとの両輪」が挙げられています。
CPE事業では、SIPがCVCで協働してきた2社とそれぞれファンドを立ち上げます。いずれも2026年7月に設立を決定しており、運営開始の詳細は順次発表される予定です。

- KRAFTIA Succession Value Partners(正式名称:クラフティア サクセッション・バリュー・パートナーズ投資事業有限責任組合)
- LP:株式会社クラフティア(東証プライム:1959)
- 規模:200億円
- 主な投資領域:グリーンイノベーション、配電・電気・空調衛生・情報通信工事関連、AI・デジタルソリューション、建設テック、不動産・街づくり、クラフティアグループとのシナジーが期待できる領域
- SEINO Alliance Fund(正式名称:SEINO Alliance Fund投資事業有限責任組合)
- LP:セイノーホールディングス株式会社(東証プライム:9076)
- 規模:100億円
- 主な投資領域:物流周辺領域、荷主企業のバリューチェーン全体
SIPは2ファンドでの実績構築とともに他の事業会社とのファンド組成も進め、中長期的にCPE単独で運用総額1,000億円超を目指す方針です。

体制強化とグループのマルチストラテジー展開

CPE事業責任者には、欧州最大級の投資ファンドであるCVC Capital Partnersでマネージングディレクターを務め、2006年から2023年までバイアウト投資事業に従事した小原正憲が就任しました。小原は同社退社後にFRAIM株式会社のマネジメントを経て、2026年にSIPに参画しています。
Spiralは2016年の設立以降、シード・アーリー向けVCファンド(運用総額340億円)、2019年からのCVCファンド(運用総額740億円、公表前を含む)と領域を拡大してきました。2026年からのグロース・バイアウト参入により、グループの運用総額は1,380億円(2026年10月時点、公表前のファンドを含む)に達し、創業期から上場後までを一貫して支援するマルチストラテジー体制が整いました。
Spiral Capitalグループ代表の奥野友和は、グロース・バイアウトをマルチストラテジーファンドへの進化に向けた最後のピースであったとし、CPEを通じて事業会社とスタートアップ双方の空白を埋め、日本の新たな資本の流れをつくっていく姿勢を示しています。また、CPE事業責任者の小原正憲は、事業会社との協業や最適なPMI・出口の設計により成長企業へ新たな選択肢を提供し、グロース市場全体の活性化に貢献していくとしています。
会社概要
- Spiral Capital株式会社
- 所在地:東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 504
- ジェネラルパートナー:奥野 友和、千葉 貴史
- 設立:2016年6月
- 事業内容:純投資ファンド(VCファンド)の運営
- Spiral Innovation Partners株式会社
- 所在地:東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 403
- ジェネラルパートナー:岡 洋、鎌田 和博
- 設立:2019年5月
- 事業内容:戦略投資ファンド(CVCファンド・CPEファンド)の運営
- Spiral Capitalグループ公式サイト:https://spiral-cap.com/
本記事はSpiral Capitalグループの発表をもとに作成されています。市場データ等の出所:EY新日本有限責任監査法人、金融庁「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」資料(原典:スピーダ スタートアップ情報リサーチ)、日本経済新聞、日本取引所グループ公表資料。
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