ABB、データセンタ冷却向けTFMモータの開発・商業化へ ETMと提携拡大
ABBは、Graco Inc.の子会社であるElectric Torque Machines(ETM)との協力関係を拡大し、ETMの特許取得済みTransverse Flux Motor(TFM)技術を活用したデータセンタ冷却向けモータの開発および商業化を進めると発表した。開発されるTFMモータは、ABBブランドとして市場投入される予定となっている。AIデータセンタの世界的な拡大を背景に、高トルクのダイレクトドライブ冷却モータを展開し、需要が拡大する冷却インフラ市場での事業強化を図る。
TFMモータは低速域で高いトルクを発揮する点が特長で、大型冷却ファン、ポンプ、冷却塔など、高密度化が進むデータセンタの冷却設備に適しているとされる。
TFMのダイレクトドライブ構造により、大規模な冷却用途において機械構造の複雑さやエネルギー変換ロスを抑えることが可能になるという。これにより、騒音の抑制や保守負担の軽減、ライフサイクル全体での総保有コスト(Total Cost of Ownership)の低減に貢献するとしている。
急増する電力需要とAIインフラへの対応
International Energy Agency (IEA)の「Electricity 2025」によると、2025年の世界のデータセンタ電力需要は17%増加し、そのうちAI向け施設は50%の成長を記録した。演算能力や先進インフラへの需要が大きく高まる中、データセンタの規模拡大に伴って冷却はミッションクリティカルな要素となっている。そのため事業者側では、高効率で保守性に優れ、低騒音かつ連続運転に適した冷却ソリューションが求められている。
既存ポートフォリオとの連携と両社の見解
ABB NEMAモータ事業部のグローバルビジネスライン エグゼクティブ・バイスプレジデントであるジャスティン・マクマホンは、AIによるデータセンタ設計の変化に伴い、事業者はエネルギー消費を抑えて設備の複雑さを軽減し、ダウンタイムを最小化する冷却ソリューションを求めていると説明し、今回の提携拡大によってこうしたニーズに応える技術を提供できるとしている。
また、Graco Inc.のCEOであるマーク・シーハン氏は、今回の提携について「ABBとの提携は、Transverse Flux Motor技術をデータセンタ市場へ大規模に展開するための最適な道筋です」とコメントしている。
今回の新モータはABBの可変速ドライブ(VSD)や各種モータポートフォリオと組み合わせることが可能であり、ABBがこれまで展開してきた高効率モータ、低高調波ドライブ、液冷技術を補完するものと位置付けられている。
発表各社の概要
- ABB モーション: 140 年以上にわたる電動パワートレインに関する専門知識を活かし、世界 100 カ国で 23,000 人以上の従業員を擁する。URLはgo.abb/motion。
- Electric Torque Machines(ETM): Graco Inc.(NYSE: GGG)の100%子会社。特許取得済みTransverse Flux Motor(TFM)技術の開発およびライセンス提供を行う。URLはwww.etmpower.com。
本記事はABBの発表およびInternational Energy Agency (IEA)の公表資料をもとに作成しています。
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