ラーメン店の倒産が急増、過去最多更新
2024年の「ラーメン店」の倒産件数が前年比3割超の72件に急増し、過去最多を大幅に更新したことが株式会社帝国データバンクの調査で明らかになった。人件費や電気代、原材料コストの高騰に加え、「ラーメン1杯=千円の壁」に代表される価格転嫁の難しさから、多くのラーメン店が閉店を余儀なくされた。
2023年度のラーメン店の業績では、33.8%が「赤字」、27.7%が「減益」で、合わせて61.5%が「業績悪化」に陥った。これはコロナ禍の影響が直撃した2020年度に次ぐ、過去20年で2番目に高い水準だ。ラーメン人気の高まりや訪日客による需要増が追い風となる一方、原材料などのコスト増を価格に転嫁できず、利益確保が困難になるケースが目立った。
実際、ラーメンで使用する原材料のトータルコストは2022年平均比で1割超増加し、豚肉や背脂、麺、海苔、メンマなど幅広い原材料で価格が大幅に上昇した。しかし、こうしたコスト高が現状のメニュー価格に追いついておらず、ラーメン価格は値上げが続くものの全国平均700円を下回る水準が続いている。安い日常食のイメージが根強く、トッピングなしで1杯1000円を超えると客足が遠のくといわれるほど「適正価格」の形成が難しいことも、利益確保が年々困難化する要因だ。
他業界に比べて値上げが難しい特有の事情を抱えるラーメン店業界では、各種コストの増加分を価格に転嫁できない中小店を中心に、2025年も倒産増加のトレンドが続く可能性がある。