歌で広がる国際交流の輪、外国語と日本語が織りなす「国際紅白歌合戦」
日本人が外国語で、外国人が日本語で歌う国際交流イベント「第12回国際紅白歌合戦」が11月17日、大阪府箕面市で開催される。様々な国の歌と文化が交わるこのユニークな取り組みについて、実行委員会の宮崎計実さんに話を聞いた。
双方向の理解を目指して
「国際紅白歌合戦」は、外国人参加者が日本語の歌を、日本人参加者が外国語の歌を披露するイベント。各回16〜20組ほどが出場し、約3時間に及ぶステージでは歌唱のほか、ダンスやファッションショーなども織り交ぜながら展開される。
「外国人が日本語で歌うイベントは他にもありますが、私たちは日本人も外国語で歌うことにこだわっています」と、宮崎さんは言う。外国人が一生懸命日本語で歌う姿に日本人が心を動かされるように、日本人が外国語で歌うことは、その国の人々への敬意を示すことにもなるからだ。
海外にも広がる交流の輪
2011年に東日本大震災からの復興を願って始まったこのイベントは、東京を拠点に開催されてきた。2019年からは本拠を大阪に移し、さらに年によってはフィリピンやインドネシアでも開催。海外展開は、主催者側がイベントのフォーマットを現地パートナーに提供する形で進められている。
また今回は、インドネシアとブラジルでも選考会を行い、インドネシアからは医療系大学生を対象に募集した2名が、ブラジルからは日系人カラオケ団体の代表1名が大阪公演に参加する。
海外経験から生まれた気づき
宮崎さんが国際交流に携わるようになったきっかけは、自身の海外生活にある。18歳から24歳までオーストラリアやイギリスで過ごした経験は充実したものだった。「私自身は海外で素晴らしい思い出を作ることができた。でも、日本で暮らす外国人の中には、何年住んでも心を開いて話せる日本人に出会えない人もいる」。
その気づきは、外国人の就職支援の仕事をしていた時に決定的なものとなった。「日本語がすごく上手いのに、就職がなかなか決まらない中国人の方がいて、そのうちお悩み相談だったり、日本でこれまであったことを話してくれたりして。そのときに『日本に6年住んでいるけど、こんなに自分のことを(知ってもらおうと)日本人に話したのは初めて』と言われたんです。日本語が上手な人でも、日本で生きる中で、相談したりできる人が1人もいなかったことに愕然としました」。
自身の海外経験が充実したものだったからこその衝撃。それから宮崎さんは、自身が日本と海外の架け橋になれないかを考えるようになった。
その後、宮崎さんは不動産業界のコミュニティと知り合い、留学生向けインターンシッププログラムに10年間ほど携わる。その中で、外国人が日本で直面する最初の壁が住まい探しであることを知ったそう。そのコミュニティメンバーは、外国人が家をもっと借りやすい、生きやすい環境に、日本をしていく必要性を感じた仲間となった。そして、そこで知り合った人たちの応援を受け「国際紅白歌合戦」のプロジェクトが始動。そうした人たちに支えられ、「国際紅白歌合戦」は継続開催されている。
宮崎さん「支援を通じて出会った方々は、今でも歌合戦を支える大きな力になってくれています」
「国際紅白歌合戦」は2025年の大阪・関西万博に向けて、TEAM EXPO共創チャレンジにも登録。「歌を通じた交流の輪をさらに広げていきたい」と宮崎さんは決意を新たにしている。
【開催概要】 日時:2024年11月17日(日)13:30開演 場所:箕面メイプルホール(大阪府箕面市) 入場:無料
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