パンの「もったいない」をなくしたい、新しい流通の形を作るrebake
11月に入り、街はクリスマスムード一色だ。ケーキ屋の店頭には華やかなデコレーションケーキが並び始め、パン屋では冬の定番商品「シュトーレン」の予約がスタートしている。
そんな中、パンの通信販売サービス「rebake」がシュトーレンの特集ページを公開した。全国のパン屋から取り寄せたシュトーレンをタイプ別に紹介するほか、シュトーレンの歴史や食べ方まで、徹底的に解説している。
広がるシュトーレン人気
シュトーレンとは、ドイツの伝統的なクリスマススイーツだ。ドライフルーツやナッツを生地に練り込み、スパイスを効かせて焼き上げる。rebakeの調査によると、今年シュトーレンを購入予定と回答した人は全体の約4割に上るという。
「2021年ごろから、rebakeを通じて『シュトーレンを知っていますか?』と聞いたときに『知らない』と答える人はほとんどいなくなりました」と、担当者は語る。特にコロナ禍でお取り寄せブームが登場した時期から、認知度が大きく上がっているように感じるという。
「余った」を「届ける」へ
rebakeは2018年に設立された、パンの通信販売プラットフォームだ。現在、全国の製造小売パン屋の約15%にあたる1500店舗が登録している。特徴的なのは、その取り扱い方針だ。
「私たちは『ロスパン』と呼んでいるのですが、店頭で売れ残ってしまい、このままでは廃棄せざるを得ないパンを中心に取り扱っています」(rebake担当者)
仕組みはシンプル。顧客はrebakeのサイトで希望のパンを予約注文。パン屋で売れ残りが出たタイミングで、パン屋から直接発送される。人気店の場合、10人ほどの「待ち」が発生することもあるという。
偶然から生まれた新しい流通の形
運営する合同会社クアッガの代表である斉藤優也氏は、環境保護に関心を持ち大学院で学んでいた人物。パン屋で働く姉から「パン屋では多くの食品ロスが出てしまう」という話を聞き、業界に根付いた営業スタイルに一石を投じるべく、2018年にサービスを立ち上げた。
当初は、パン屋から売れ残りのパンを買い取って街中で販売するスタイルだったという。しかし、「パン好きの人は冷凍保存する」という情報を得て、冷凍便での通信販売に転換。現在の形になった。
「食品ロスを経済的に循環させることで、パン屋さんが自分で作ったものを捨てる精神的負担を減らしたい。また、パンが好きな人は遠くのパンを取り寄せられて嬉しい。そういうちょっとした幸せを増やしていくことが私たちの目的です」(rebake担当者)
理念と現実の両立
では、なぜrebakeはシュトーレンを特集するのか。
「シュトーレンは通販との相性がいいのではないかと考えています」と担当者は説明する。「クリスマスケーキは保存が難しく、店頭での購入が中心。一方、シュトーレンは長期保存が可能で、通販で購入すると回答した人はクリスマスケーキの4倍以上でした」
現在、rebakeで扱われる商品の8~9割が「ロスパン」だという。しかし、シュトーレンのような特別な商品は新品での出品が中心だ。これは、rebakeが単なる「余り物」の受け皿ではなく、パン屋と消費者をつなぐ新しい流通の形として機能していることを示している。
「食品ロスを経済的に循環させる」というrebakeの理念。それは、ただ廃棄を減らすだけでなく、パン屋と消費者の双方に価値をもたらす持続可能な仕組みを作ることで実現されようとしている。
特集「シュトーレン特集2024」
https://rebake.me/blogs/news/1143