熊本で見守りシステムの実証実験がスタート、GIGAスクール端末を活用し子どもの安全を目指す
GIGAスクール構想で配布されたタブレット端末を活用し、児童の登下校を見守る実証実験が熊本市でスタート。海外の危機管理システムとして生まれた「HAZARD Buster」が、子どもたちの安全を守る新たな役割を担う。
児童の安全を守る新たな取り組み
11月1日、熊本県熊本市は、市内4校の小学校で児童の登下校時の安全対策強化に向けた実証実験を開始した。活用するのは、MaaSビジネスを展開しているジョルダン株式会社が開発した位置情報システム「HAZARD Buster」。GIGAスクール構想で配布されたタブレット端末を活用し、児童の移動を見守る新しい試みだ。
海外での危機管理から国内の見守りへ
「HAZARD Buster」の企画販売を行う株式会社ALL LINKAGEの代表・岩田誠さんは、システムの生い立ちをこう説明する。「もともとは2016年に、海外出張者や駐在員の危機管理、安否確認のために開発されました」
コロナ禍を機に国内での活用も模索し始め、防災や業務効率化、そして今回のような児童見守りシステムとしての展開を進めているという。
GIGAスクール構想を活かした新しい見守り
システムの特徴は、学校のパソコンで管理画面を開き、児童のタブレットで位置情報を共有する仕組み。最短1分間隔で位置情報を取得でき、移動の軌跡も確認できる。さらに、不審者情報や災害情報なども地図上に表示可能だ。児童一人一人にIDとパスワードを設定し、児童が登校時や下校時にアプリを起動することで、トラッキングが可能になる。
実証実験では、タブレットのLTE通信環境の有無が課題だ。「都内では半数程度の自治体がLTE対応端末を導入していますが、地方ではまだまだ少ない。将来的には地域BWAなど、新しい通信インフラの活用も検討していきたい」と岩田さんは語る。
共働き世帯の増加で高まる需要
不審者情報が頻繁に報告される中、共働き世帯の増加も相まって、児童の見守りニーズは高まっている。システムの利用料は児童一人当たり月額500円程度。自治体にとってはデジタル化推進の補助金が活用できるという。
「学校の先生の負担を増やさず、既存のGIGAスクール端末を活用できる点が特徴です」と岩田さん。今後は熊本市での実証結果を踏まえ、他の自治体への展開も視野に入れている。
テクノロジーを活用した新しい見守りの形。それは、地域社会全体で子どもたちの安全を守る取り組みの一つとなるかもしれない。
HAZARD Buster
https://school.alllinkage.com/