スーツを売るだけじゃなく働く人のために、青山商事が見据える新しい価値創造
「洋服の青山」で知られる青山商事株式会社が11月5日、「社風見える化PROJECT」を始動した。就活生の入社後のギャップを軽減し、自分らしく働ける会社選びをサポートすることを目指すこのプロジェクトは、27の企業・団体が賛同。各社の職場風景や従業員の服装をWebサイトで公開している。
なぜ今、このプロジェクトなのか
就活における大きな課題として、企業の社風や文化が十分に伝わっていない現状があるという。実際、調査では62%の就活生が会社説明会や採用サイトでは社風や文化を理解できなかったと回答。一方で、入社を決める際に「社内の雰囲気の良さ」を重視する学生が多いことも判明している。
そこで青山商事は、言葉での説明だけでなく、写真や動画、データを通じて各社の社風を伝えることで、このギャップを埋めていく考えだ。
「シン・シゴト服ラボ」からの発展
このプロジェクトは、約3年前から同社が取り組んでいた「シン・シゴト服ラボ」という活動から生まれたという。これは社内外のビジネスパーソンと共に、主にビジネスウェアを通じた社会課題の解決を目指す共創コミュニティだ。
きっかけは店頭での変化だったそうだ。今回話を聞かせてくれた同社の担当者は、かつて店長を務めていた際、就活用のスーツを求める学生への対応に戸惑いを感じていたという。コロナ前までは就活=スーツという図式が成り立っていたが、最近では「ビジネスカジュアル」への対応を求められるケースが増え、その都度、適切なアドバイスに苦慮したそうだ。
スーツ販売からの進化
スーツ販売を主力とする青山商事にとって、働く服の多様化は一見すると逆風に映るかもしれない。しかし同社は、スーツだけでなく、働く人の仕事服を幅広く提供する企業として自らを位置づけている。
働き方や仕事服の多様化は社会の必然的な流れであり、むしろ積極的に受け入れるべきだというのが同社の考え。スーツであれビジネスカジュアルであれ、働く人々のニーズに応える服を提供し続けることが、これからの使命だと捉えている。
単なる売上向上ではない、社会への貢献
同社にとってこのプロジェクトは、直接的な売上増加を目指すものではない。むしろ、目の前にある社会課題に対して、企業同士が協力することで解決を目指す取り組みだという。
27社もの企業が賛同した背景には、採用に関する共通の課題があるようだ。学生が社風を重視しながらも、それを十分に理解できていない現状。このギャップを埋めたいという思いが、多くの企業の賛同を促したと考えられる。
今後は賛同企業を増やすだけでなく、より多くの学生に届くよう、さまざまな形でプロジェクトを発展させていく考えだ。
「社風見える化PROJECT」特設サイト
https://www.onecareer.jp/lp/shafu-mieruka-project