「映え」より「味わい」を―徳島発、心を満たす新スイーツ「ぶっタホ」の挑戦
徳島県発の新スイーツ「ぶっタホ」。ユニークな名前だが、そこには店主の熱い想いが込められていた。
「お腹が空いて食べるときでも、心が満たされないことは往々にしてありますよね。食べることは単にお腹を満たすだけではない。それ以上の何かを持っているはずなんです」
徳島県藍住町の「こじかキッチン」で11月17日、新しいスイーツ「ぶっタホ」が一日限定で登場する。和食の修行を積んだ店主の田中直人さんは、このスイーツを通じて、食べる喜びとともに心地よい居場所も届けようとしている。
豆腐プリンで進化させた伝統のスイーツ
「ぶっタホ」は、フィリピンの伝統的なデザート「タホ」をベースにしている。タホとは豆腐という意味で、本来は豆腐そのものに黒蜜や練乳をかけて食べる朝食やデザートだ。これを日本人向けに、豆腐プリンへとアレンジした。生クリーム入りのスポイトが添えられているのもポイント。ここに入った生クリームを、客が好みの量を調整しながら豆腐プリンに加えることができる。「生クリームを加えることで、より濃厚でまろやかな味わいになります」と田中さん。
和食の技術は、タピオカの食感を保つ工夫にも活かされている。「タピオカは時間が経つと硬くなってしまいますが、独自の茹で方を開発することで、テイクアウトしても柔らかな食感を保てるようになりました」
フィリピン人の友人との出会いから生まれた「第二の家」構想
このスイーツは、フィリピン人の友人との出会いから生まれた。ちなみに、友人は「ぶっタホ」の経営パートナーでもある。「友人は二人の幼い娘を育てているのですが、その姿を見て、子育て中の親子に寄り添える場所を作りたいという思いが芽生えました」と田中さんは振り返る。
商品名の「ぶっタホ」には、「ブッダ(仏)」と「タホ」を掛け合わせた意味が込められている。心を安寧にするという仏教の教えと、「心もおなかも満たす」という店のコンセプトが重なり合うためだ。
今回の一日限定販売は、今後の展開を見据えた試験的な取り組み。将来的にはマルシェやお祭りへの出店、さらには移動販売も視野に入れている。「フィリピンでは、タホ売りが住宅街を回りながら販売する文化があります。いつか徳島でも、そんな懐かしくも新しい販売スタイルに挑戦してみたい」
「映え」を追求するのではなく、食べる喜びと落ち着ける空間づくりにこだわった「ぶっタホ」。特に子育て中の親子にとって、公園で遊んだ帰りに立ち寄れる「第二の家」のような場所を目指している。心もおなかも満たされる、新しいスイーツの誕生だ。
ぶっタホ 11月17日、「こじかキッチン」(徳島県板野郡藍住町勝瑞字東勝地190-5)にて一日限定販売 Instagram:@buttaho_aizumi_sweets