商業施設運営会社が作る“謎に人気”のカプセルトイ「ガチャタマ」はどうやって生まれた?
商業施設を運営する会社が、コロナ禍の「悪ふざけ」から始めたご当地カプセルトイが異例のヒット商品に。地域の隠れた名所や懐かしい風景を詰め込んだ「ガチャタマ」は、SNSでも話題を呼び、累計販売数40万個を突破。その意外な誕生秘話に迫った。
株式会社アルシェが企画する謎のカプセルトイシリーズ「ガチャタマ」。2021年の「大宮ガチャ」第一弾発売以来、シリーズ累計販売数40万個を超える人気商品となっている。2024年11月15日、新たに「国分寺ガチャタマ」(1回300円)第一弾が発売された。一見すると本業とは関係のないこの商品は、いったいどのように生まれたのだろうか。
国分寺の“愛すべき”スポットがカプセルトイに
「国分寺ガチャタマ」第一弾のラインナップは全8種類。元プロボクシング世界王者の輪島功一氏がオーナーを務める「だんごの輪島」や、国分寺発の人気ラーメン店「ムタヒロ」、駅前の新しいランドマーク「ミーツ国分寺」など、地域に根付いた店舗や施設がミニチュア化されている。
さらに、レアアイテムとして「国分寺パークレーン」も用意。ボウリングの聖地として地元民に長年愛されたスポットを再現している。
コロナ禍の「悪ふざけ」から始まった人気商品
本業とは異なるカプセルトイ事業に、なぜアルシェは参入したのか。担当者によると、その契機はコロナ禍にあったという。
「2020年ごろにコロナが流行り始めて、商業施設として人を集めるイベントがなかなかできなくなってしまった。そんな中で何か面白いことができないかと、普段から一緒に企画をしている仲間と話をしていて。ちょうどガチャガチャが盛り上がっていたこともあり、『地元の人間しかわからないマニアックなものをやったら面白いよね』という話になりました」
企画はなんと、社内での悪ノリ的な流れで誕生。そのため、当初は「少しは面白がってくれる人がいるだろう」程度の想定で、第一弾と第二弾で終わらせるつもりだったという。しかし、SNS、特にXで予想以上の反響があり、「何これ?」といった反応とともに良い意味で注目を集めることに。その後、他の地域の施設などからもオファーが来るようになり、シリーズ化していった。
「公平」を避け、「カオス」を求めて
各地域版のラインナップは、どのように決めているのだろうか。
「例えば埼玉県川越なら『時の鐘』のような“ザ・観光名所”は、あえて入れないようにしています。観光グッズみたいになるのは違うのかなと」
その代わりに意識しているのが、「カオス感」だという。懐かしいネタばかりでも、今イケているものばかりでもなく、その絶妙なバランスを重視。「面白いねという空気感」を大切にしている。
意外なヒットの理由
シリーズ累計40万個という驚異的な販売数を記録している要因について、担当者は「変に狙いに行かなかったからよかったのかもしれない」と分析。また、地域のローカルネタが、特に匿名性の高いXと親和性が高かったことも大きな要因だという。
「我々が軽いノリで、地元の人間しかわからないネタで商品を作ってみようというのが、『この会社なんだろ?』といった反応とともに、意外な形で受け入れられたように思います」
本業とは異なる分野での挑戦。しかし、「自分たちが面白いと思うから作る」という素直な姿勢が、かえって多くの人の心を掴んだのかもしれない。
ARCHE(公式Webサイト)
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